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国際熱帯農業センター(CIAT) −遺伝資源管理と環境資源管理の統合による持続的 農業の実現− |

所長 前野休明
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国際熱帯農業センター(CIAT,Centro Internacional de Agricultura Tropical)は、1967年に設立された国際農業研究機関の一つです。当初はロックフェラー財団の援助により設立・運営されていましたが、1971年に国際農業研究協議グループ(CGIAR)が結成されると同時にその傘下の研究機関になりました。本部はコロンビアのカリ市に置かれています。 |
●CIATの使命:「飢餓と貧困の撲滅」
国際熱帯農業センターの使命は、他のCGIAR傘下の研究機関と同様に、農業研究を通じて世界の「飢餓と貧困の撲滅」に貢献することにあります。従って、他のCGIAR機関と研究対象作物等を分担し、互いに協力しながら研究を進めています。CIATでは、熱帯牧草、キャッサバ、インゲン豆については全世界を対象に、稲についてはラテンアメリカ、カリブ地域を対象として研究を進めています。また、熱帯アメリカ地域における環境資源管理の研究についても責任を負っています。しかし、この両者を別々の課題としてではなく、様々なプロジェクトとして統合した形で研究を進めています。
例えば、熱帯アメリカには、ジャノスと呼ばれる広大なサバンナ地帯がありますが、長い乾期と強酸性で痩せた土壌のため生産力は非常に低く、粗放な肉牛生産しか行われていませんでした。そこで、この貴重な土地資源を有効に活用していくために、このような気象・土壌条件に耐える生物資源の開発と利用という研究戦略をたて、熱帯牧草、キャッサバ、稲などの遺伝資源の収集、評価、改善を進めてきました。その結果、現在ではジャノスでも大規模な稲の生産が行われるようになり、ラテンアメリカでの米の生産と消費は急速に増加しています。また、熱帯牧草と稲の輪作(crop-pasture system)も環境資源管理、土地資源の有効利用システムとして注目されています。
●我が国との係わり
CIATは我が国とも係わりが深く、現在我が国からのCIATへの拠出金は世界銀行と並びトップの位置を占めています。また、これまで当研究センターからも多くの研究者がCIATへ派遣され、共同研究を実施してきました。前述したジャノスでの稲栽培に関しては、岡田謙介技官が5年間にわたって実施した共同研究の成果も大きく貢献しています。さらに、CIATの理事会にも歴代日本からの理事が選出されています。現在は、筆者が理事を務めています。
このように、CIATは我が国と非常に深い係わりがありますが、地理的にも遠く、熱帯牧草やキャッサバなどの対象作物にもなじみが薄いこともあってか、その活動はあまり知られていないようです。コロンビア国内の治安問題等もあって、当研究センターからの長期在外研究員派遣も現在は途絶えていますが、是非再開したいものと思っています。特に若い研究者にとっては、非常に貴重な体験を得られる研究の場だと考えています。