パラグアイにおけるダイズシストセンチュウの分布実態とダイズ被害の初確認

要約

パラグアイの主要ダイズ作地帯では、カニンデジュ県8圃場、アルトパラナ県3圃場、カグアス県2圃場でダイズシストセンチュウが確認され、カニンデジュ県での検出頻度が高い。アルトパラナ県のダイズ圃場では、本線虫がすでに高密度となり、草丈低下40%以上という著しい被害がスポット状に発生している。

背景・ねらい

パラグアイでは、2002年12月にダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)の発生が確認された。この線虫はダイズの最大の有害線虫である。両隣のアルゼンチンとブラジルでは、すでに被害が深刻化している。ダイズは輸出総額の50%を占めるパラグアイの最重要作物である。防除対策の開発は緊急を要するが、同国では分布や被害等、基本的な情報が不足している。主要ダイズ作地帯における本線虫の分布と被害の実態を明らかにし、本線虫の防除対策を開発するための基本となる情報を提供する。

成果の内容・特徴

  1. パラグアイのダイズ作地帯では、少なくとも13圃場にダイズシストセンチュウが分布し、このうち7圃場は2004~2005年に実施した本調査による初の記録である。地域別では、カニンデジュ県が最多で8圃場、アルトパラナ県が3圃場、カグアス県が2圃場で、イタプア県からは未だ検出されていない(表1、図1)。
  2. カニンデジュ県では、2005年収穫期調査による検出圃場率は24圃場中6圃場、すなわち25%であり、かなり広い地域に分布している可能性が予想される。一部の圃場では線虫がすでに高密度となっている(表1)。
  3. アルトパラナ県サンアルベルトのダイズ圃場では、本線虫がすでに高密度となり、草丈低下40%以上という著しい被害がスポット状に発生している(図2,3)。

成果の活用面・留意点

  1. 行政関係者、育種関係者、生産者等に防除対策開発の重要性を説明する資料として利用できる。
  2. 発生圃場からの線虫研究試料の採取、輪作等耕種的試験を実施するための情報として利用することが出来る。

具体的データ

  1.  

    表1
  2.  

    図1
  3.  

    図2
  4.  

    図3
Affiliation

国際農研 生産環境部

予算区分
国際プロ〔広域南米大豆生産〕
研究課題

ダイズシストセンチュウの生態的特性の解明および抵抗性ダイズ品種の探索

研究期間

2005年度(2004~2005年度)

研究担当者

佐野 善一 ( 生産環境部 )

PEDROZO Lidia ( パラグアイ国立農業研究所 )

ほか
発表論文等

Sano, Z. and Pedrozo, L. (2005) : Sever growth reduction of soybean by Heterodera glycines detected in Paraguay. Abstracts of 37th Annual Meeting of Organization of Nematologists of Tropical America, 69.

Sano, Z. and Pedrozo, L. (2005) :Nematodo der quiste de la soja, Heterodera glycines en Paraguay: Ecologia, distribucion y danos. パラグアイ国立農業研究所2005年農業技術セミナー要旨集.

日本語PDF

2005_seikajouhou_A4_ja_Part5.pdf567.11 KB

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