わい性で、耐暑性に優れた食味良好なパパイヤ新品種「石垣珊瑚」

国名
日本
要約

パパイヤの新品種「石垣珊瑚」は、「ワンダーブライト」の自然交雑実生から選抜した単為結果性のある雌性系統である。耐暑性を備え、わい性で豊産性の栽培特性を持ち、果実は強い芳香があり、高糖度で食味がよい

背景・ねらい

パパイヤは、世界の熱帯・亜熱帯地域で広く生産されている。生食用パパイヤは、「サンライズ」が世界市場および国内市場で高い評価を受けている。しかし樹高が高くなり耐暑性にも欠けるため、台風の常襲地域や高温地帯では安定した生産が困難である。そこで、わい性および耐暑性を備え、「サンライズ」と同等かそれ以上の果実品質特性を持つ、パパイヤの新品種育成を図る。

成果の内容・特徴

  1. 1997年に「ワンダーブライト」の自然交雑種子を播種し、2000年にわい性と果実品質で一次選抜した。2001年から品種登録に向け、80リットル鉢(赤黄色土:サンゴダスト:堆肥=5:2:2)に定植し、無加温のビニールハウス内で養液土耕栽培を行い、特性調査を開始した。2005年に栽培特性、果実品質とも優れているとの結論を得、2007年2月に品種登録を申請した。
  2. 果実は、平均840gで、果皮は鮮橙色、果肉は明赤橙色である(表1、図1)。糖度は平均13.8%と「ワンダーフレア」より高く、強い芳香があり、食味良好である(表1)。
  3. 節間長は平均12mmと「サンライズ」に比べて短く、わい性品種である「ワンダーフレア」と同程度のわい性を示し、着花開始節は平均15節である(表1、図2)。
  4. 耐暑性に加えて、単為結果性を有する雌性系統であるため、豊産性で周年生産が可能である(表1)。

成果の活用面・留意点

  1. 果実の肥大は、無加温ビニールハウス栽培では季節に強く影響を受け、着果量によっても異なる。
  2. 雌性系統であるため栄養繁殖を行う必要があるが、接ぎ木および挿し木繁殖が困難であり、また、ウイルス被害の回避のため、ウイルス無毒株の組織培養による増殖が好ましい。

具体的データ

  1. 表1.「石垣珊瑚」の樹体および果実特性
    (国際農林水産業研究センター 沖縄支所、2001~2005年)

    表1.「石垣珊瑚」の樹体および果実特性
  2.  

    図1.「石垣珊瑚」の果実
    図1.「石垣珊瑚」の果実
    A:側面、B:果梗部、C:果頂部、D:縦断面、E:横断面
  3.  

    図2.「石垣珊瑚」の樹姿(左)と開花結実状況(右)
    図2.「石垣珊瑚」の樹姿(左)と開花結実状況(右)
Affiliation

国際農研 熱帯・島嶼研究拠点

研究課題

パパイヤ等熱帯果樹の高品質系統の評価と選抜

研究期間

2005年度(1997~2005年度)

研究担当者

深町 ( 農研機構 果樹研究所 )

加藤 秀憲 ( 熱帯・島嶼研究拠点 )

日高 哲志 ( 鹿児島大学 )

玉城 真男 ( 石垣島パパイヤ )

小川 一紀 ( 農研機構 果樹研究所 )

小森 貞男 ( 岩手大学 )

米本 仁巳 ( 熱帯・島嶼研究拠点 )

ほか
発表論文等

品種登録申請中

日本語PDF

2006_seikajouhou_A4_ja_Part23.pdf590.59 KB

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