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国際農林水産業研究成果情報 第3号 【1995(平成7年度)】

熱帯林伐採後の森林劣化要因の解明

〔 要約 〕東南アジア熱帯降雨林は択伐ー天然更新による持続的利用が期待されているが伐採後の有用雅樹成長・増殖が悪い例が多く森林劣化が著しい。伐採後の競合植物による環境劣化、不適な伐採方法、土壌撹乱などが雅樹の消失、定着・成長阻害原因であることを解明した。
所属 国際農林水産業研究センター・林業部、マレイシア森林研究所(FRIM) 連絡先 0298-38-6309
推進会
議 名
国際農業 専門 森林生産 対象 熱帯広葉樹 分類 研究

[ 背景・ねらい]

東南アジア熱帯雨林地帯では択伐ー天然更新という持続的森林管理・利用法が長期にわたり適用されてきた。その結果、焼畑地を除き森林が継続している。しかし、択伐後有用樹の更新が適切に進む例は稀で、ほとんどは早生樹など利用不適種に変化した劣化林として次代へ受け継がれ、将来の適切な森林生産を困難にしている。森林劣化は地域経済や環境維持に重大な障害となると予想されるため、今後の対応策の構築に向けて、森林劣化の主要因、天然更新の現状と妨害要因および回復・改善の手段を明らかにする。


[成果の概要・特徴]

マレイシア森林研究所と共同で微細環境、植生構造、林地・土壌撹乱の時系列的変化をセランゴール州有林の択伐林と対照天然林において主要フタバガキShorea curtisiiを指標として解析すると共に伐採方法をトレンガヌ州の択伐作業地で解析した。なお、将来の大規模林地への適用を配慮し、省コスト・省力化に結びつく簡便な劣化林発生抑制・改良技術開発を想定した研究を目指した。

  • 研究の成果と特徴は次の通りである。
  1. 指標種Shorea curtisiiを含むフタバガキは集・運材路が開設される斜面上部に集中分布し、伐採による影響を受けやすいことが判明した(図1)。フタバガキの低い耐乾燥性を反映し、土壌水分低下と共に雅樹の成長速度が低下した。
  2. 伐採後の叢生ヤシの繁茂により雅樹上の相対照度が5.1%から1.3%にまで低下し、著しく雅樹成長を阻害したが、除去により照度が平均4%程度に回復し、雅樹成長が可能となった(図2)。
  3. 集材路は尾根に集中し(図1)、伐採ー木寄せの際の軽度攪乱が面積で過半、ブルトーザーの走行による重度攪乱が林地の10%程度となり、雅樹の損壊は顕著であった。
  4. 攪乱地の土壌移動と圧密は顕著で、伐採5年後でも重度攪乱地の土壌裸出比は軽度地の2.7倍で、有用雅樹の定着はほとんど皆無であった(表)。
  5. 以上の結果、現行法では早急な天然更新は期待できず、叢生ヤシの除去と共に重度攪乱地には補正造林による有用樹の付加が、また伐木ー集・運材方法の抜本的改善が必要との結論を得た。

[成果の活用面・留意点]

伐木ー天然更新現行法は森林劣化が著しいため改善が望まれており、この研究で伐採による雅樹・土壌攪乱との競合種の繁茂が最大の問題点となることを明らかにした。今後、伐採方法の改善と雅樹損失及び土壌撹乱の補正方法の改善に焦点を合わせた研究が必要と結論づけた。


[具体的データ]

図1

図2表


[その他]
研究課題: 熱帯荒廃二次林の荒廃・再生制限要因の解明
予算区分: 国際プロ[荒廃二次林]
研究期間: 平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者: 田内裕之・Azman Hassan. Nazarudin Ramli・小南陽亮・勝木俊雄・平井敬三・佐々木尚三・ Md.Farid・Abd.Rashid
発表論文等:  
  1. 田内・勝木・小南・Azman H. Abd Rahman K.・新山:択伐はギャップ更新 と異なるか、林学会口頭発表、1996(登録済み).
  2. 田内・勝木・飯田・Azman H.・Abd Rahman K.・新山:マレイシア丘陵フタ バガキ林におけるShorea curtisiiのサイズ別空間分布、生態学会口頭発表、 1996(登録済み).
  3. 佐々木・Md Farid. A.R.・Azman H:マレーシアにおける天然林択伐作業について、森林利用学会講演要旨, p.15, 1995.
  4. 平井・Azman H.・田内:丘陵フタバガキ林における択伐後の土壌撹乱ー土壌物理性への影響と樹木の分布ー、生態学会口頭発表、1996(登録済み).
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