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国際農林水産業研究成果情報 第4号 【1996(平成8年度)】

中国上海地域に適するキュウリ、イチゴの耐病性優良新品種

〔 要約 〕日本及び中国の遺伝資源を素材として、早生、多収、高品質で耐病性に優れ、上海地域に適するキュウリ新品種「滬(ふ)116号」と「滬119号」及びイチゴ新品種「申旭1号」と「申旭2号」を育成した。
所属 国際農林水産業研究センター・生物資源部、上海市農業科学院 連絡先 0298-38-6305
推進会
議 名
国際農業 専門 育種 対象 果菜類 分類 行政

[ 背景・ねらい]

中国上海地域では、都市人口の増加や食生活の向上に伴って野菜の需要が増大し、野菜の生産強化が急務となっている。主要野菜であるキュウリについては、収量が低くべと病、つる割病に弱いなどの問題があり、他方、需要の伸びの著しいイチゴについても、促成栽培に適する高品質・耐病性品種が求められている。そこで、日中双方の遺伝資源を利用して、早生、多収、高品質で耐病性に優れ、上海地域に適するキュウリ、イチゴ新品種の育成を図った。


[成果の概要・特徴]
  1. キュウリ新品種「滬116号」は、日本F1品種「れんせい」と「新光節成11号」を育種素材として育成した半促成栽培に適する早生F1品種である。雌花着生率が高く、「新光節成11号」に比べて2割多収である。果実は棒形で、果色が濃く、溝、イボ、刺、が少なく、品質が良い。べと病、つる割病に抵抗性である。
  2. キュウリ新品種「滬119号」は、日本F1品種「れんせい」と中国系統「019-2」を育種素材として育成した半促成栽培に適する多収性F1品種である。雌花着生率は高くないが、育成後半まで安定した着果性を示す。果実は棒形、濃緑で、刺、イボが少ない。べと病、つる割り病に抵抗性である。
  3. イチゴ新品種「申旭1号」は、日本新品種「M-23」と「麗紅」を交配して育成した促成・半促成栽培に適する品種である。全収量は「とよのか」より多く果実が大きい。糖度は中程度であるが、果皮が硬く日持ち性、輸送性、に優れる。上海の主炭そ病菌Colletotricyun acutatum及び日本の主炭そ病菌C. fragariaeにも「宝交早生」以上の抵抗性を有する。
    また、上海ので促成・半促成栽培では、灰色かび病も発生がみられず、同様に抵抗性を有する。
  4. イチゴ新品種「申旭2号」は、日本品種「久留米49号」と「8418-23」を交配して育成した促成栽培に適する極早生品種である。年内収量は「とよのか」より多く早期収量が期待できる。果実の大きさは「とよのか」と同程度であり、糖度及びビタミンC含量も高く品質に優れる。炭そ病菌C. acutatum及びC. fragariaeに「宝交早生」以上の抵抗性を有する。

[成果の活用面・留意点]
  1. キュウリ新品種「滬116号」と「滬119号」の普及面積は約120haであり、現在の普及地域は上海市、浙紅省、紅蘇省、山東省、四川省など13の省、市、地区である。両品種は華南型キュウリ産地の半促成栽培に適するが、耐暑性は低いので夏季栽培には適さない。
  2. イチゴ新品種「申旭1号」と「申旭2号」はともに上海近郊から揚子江流域を中心とする促成栽培に適する。

[具体的データ]

表1

表2

図1図2


[その他]
研究課題: 中国における果菜類等の耐病性優良系統の育成
予算区分: 国際農業[中国野菜]
研究期間: 平成8年度(平成4年〜8年)
研究担当者: 杉山慶太(国際セ)・野口裕司・坂田好輝・森下昌三(野菜茶試)・許啓新・童尭明・陳幼源・葉正文・陸世鈞・陳海栄・鄭宏清・余紀柱(上海市農科科院)
発表論文等: 杉山 他(1997). キュウリ・ピーマン・イチゴの育種に関する研究. 杉山 他(1997)日中共同研究論文集. 杉山 他 (1997). 新品種の育成と基礎研究.
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