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国際農林水産業研究成果情報 第4号 【1996(平成8年度)】

乾季における乳牛用飼料としてのさとうきびの飼料価値

〔 要約 〕タイ国東北部の過酷な環境下で、他の作物・飼料作物と比較しても抜群のバイオマス生産量を誇るさとうきびの乾季における牛用飼料、特に乳牛用飼料としての利用法を、家畜栄養学の見地から示した。
所属 国際農林水産業研究センター・畜産草地部、タイ畜産局、コンケン家畜栄養センター 連絡先 0298-38-6308
推進会
議 名
国際農業 専門 動物栄養 対象 乳用牛 分類 国際

[ 背景・ねらい]

タイ国東北部において、さとうきびの生産がこの数年間で3倍程増加している。一方、乳牛の数も急増しているが、乾季の粗飼料不足が大きな問題となっている。同地域の過酷な自然環境下でも大量のバイオマスを生産しうるさとうきびは、飼料作物としても利用できる可能性がある。牛におけるさとうきび茎部の消化特性、エネルギー代謝特性ならびに実際に泌乳牛にさとうきび茎部を給与した飼養試験の結果等をもとに、問題点を明らかにするとともに、その利用法を示す。


[成果の概要・特徴]
  1. ブラーマン種牛を用い、市販のTMRと細断したさとうきび茎部の割合を0から100%まで段階的に変えて給与し、それぞれ代謝試験を実施し、さとうきび茎部の牛における代謝エネルギーを求めた結果、9.05MJ/KgDMであることが分かった。この数値とこれまでに報告されている他の作物中代謝エネルギー含量と収穫量についての統計から、タイ東北部で生産される主な作物の単位面積当たりの牛における代謝エネルギー生産量を算出した。さとうきびは栽培期間が1年を若干越えることがあるため多少過大評価している可能性もあるが、その生産量は極めて高いことが示された(図1)。
  2. 酪農家が所有するホルスタイン種の泌乳牛を用いて、粗飼料として稲藁のみ、あるいはさとうきびの茎部と稲藁を、それぞれ飽食給与する場合の比較試験をした。さとうきび給与時、配合飼料ならびに合計の乾物摂取量が稲藁給与時より少なかったが、乳量、体重の増加量とともに高い傾向を示した。また、乳質についてはさとうきびを給与した乳牛の乳は蛋白質含量が有意に高く(表1)、稲藁給与だけではエネルギーの要求量が満たされなかったが、稲藁より代謝エネルギー含量が高いさとうきびを給与されることによりエネルギーの要求量が満たされたためと推察された。
  3. ナイロンバッグ法を用いて、ルジーグラスとさとうきび茎部の水洗だけによる消失率とルーメン内での消失率それぞれを比較した。ルジーグラスが時間に伴って徐々に分解されるのと異なり、さとうきびは容易に可溶する分画となかなか分解されない分画により構成されていることが示された(図2)。後者の分画がルーメン内に長時間留まるため、エネルギー要求量を満たすだけのさとうきびを牛は十分量摂取することができない。そのため、さとうきびを給与時にも濃厚飼料からのエネルギーの補給が不可欠である。

[成果の活用面・留意点]

タイ国東北部の過酷な自然環境の下でも、多くのバイオマスを生産しうるさとうきびが牛用粗飼料として利用できることが示された。


[具体的データ]

図1

図2

表1


[その他]
研究課題: タイ国東北部における地域飼料資源を利用した大型反芻家畜飼養技術の開発
予算区分: 国際プロ(東北タイ)
研究期間: 平成6年〜10年
研究担当者: 川島知之
発表論文等: T. Kawashima, W. Sumamal, P. Pholsen, R. Chaithiang, W. Boonpakdee, M. Kurihara and M. Shibata(1996) Nutritive value of sugarcane stalk for feeding cattle. Proc. 8th AAAP Animal Science Congress. Vol. 2 238-239.
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