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国際農林水産業研究成果情報 第5号 【1997(平成9年度)】

コラップス土の力学的特性の解明と定量化手法の開発

〔 要約 〕東北タイに分布する土を対象として、コラップス土の力学的特性を三軸圧縮試験、圧密試験および加圧板試験を行いて明らかにした。また、不飽和土を対象とし、二つのサクション効果を考慮した弾塑性モデルを用いて、コラップス量を定量化する手法を開発した。
所属 国際農林水産業研究センター・生産利用部 連絡先 0298-38-6307
推進会
議 名
国際農業 専門 基幹施設 対象 農業工学 分類 研究

[ 背景・ねらい]

東北タイに分布する土は砂質系の土であり、通常かなり緩く堆積している。これらの土は、飽和度、密度および作用荷重状態によって、灌漑施設を建設する上で大きな問題を引き起こす。すなわち、水によって飽和されると大きな圧縮変形(飽和コラップス)を生じ、構造物に大きなダメージを与える。この研究では、コラップス土の力学的特性を解明し、その定量化手法を開発することを目的とする。


[成果の概要・特徴]
  1. 東北タイに分布する典型的な砂質系の土(Yellow soil)を用いた。この土は現場乾燥密度1.19g/cm3、土粒子密度2.672g/ cm3、現場含水比12.4%で土質分類はSMに属する。
  2. 現場乾燥密度と同じ密度で含水比を種々変えて締固められた供試体に対して、圧密試験を行った。図1は間隙比−鉛直応力関係で、飽和度の低い供試体では、一定鉛直応力で水浸させた場合、大きな間隙比(体積)の減少(飽和コラップス)が生じている。このように、この土は現場密度で飽和度の低い場合には、飽和コラップスを引き起こす。
  3. 加圧板試験の結果から、この土の空気侵入値は10kPa程度と考えられる。サクション(=間隙空気圧−間隙水圧)による体積変化量は、サクションが空気侵入値まではそれと同じ外力による体積変化量と同じである(図2)。サクションが空気侵入値を超えると、サクションによる体積変化量は、外力による体積変化量より小さくなり、サクションは土の圧縮を引き起こすだけでなく、土の骨格を強くする効果を持つ。
  4. サクションは土の体積変化を引き起こす力(有効応力)を生むだけでなく(サクション効果1)、土の骨格も強くする効果(サクション効果2)を生む。これら二つのサクション効果を考慮した弾塑性モデルを開発した。二つのサクション効果は、図3に示したような手順で弾塑性モデルの中へ導入される。この弾塑性モデルを用いて圧密試験の結果を予測すると、図4のようになる。予測値はほぼ45度の線上にあることから、実験値とよく一致してる。このように、このモデルを用いると、コラップスを含む体積変化挙動を首尾よく予測できる。

[成果の活用面・留意点]

本研究で得られたコラップス土の力学的特性およびその定量化手法に関する成果を用いることによって、今まで予測することの困難であったため池やフィルダムなどの土質構造物の飽和コラップスや飽和にともなう強度の低下などを予測できる。本研究の報告書(Kohgo, Y., Tamrakar, S. B. and Tang, H. B. (1997):Investigations on the mechanical properties of typical soils distributed in Northeast Thailand for the construction of irrigation facilities)をタイ国政府関係機関および関係する在タイ日本人専門家に配付し、成果の普及を図った。


[具体的データ]

図1図2

図3

図4


[その他]
研究課題: 東北タイにおけるコラップス土の力学的特性とその定量化手法の開発
予算区分: 経常,東北タイ
研究期間: 平成9年度(平成6〜10年度)
研究担当者: 向後雄二,Tamrakar, S. B., Tang, H. B. (AIT)
発表論文等: Kohgo, Y., Tamrakar, S. B. and Tang, H. G. (1997). Deformation and shear behavior of unsaturated soils sampled from Khon Kaen city, Proc. of 4th National Convention on Civil Engineering, 301-308., Kohgo, Y. (1997). Method of Analysis of Saturation Collapse Behavior, JIRCAS J. No.4,1-28.
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