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国際農林水産業研究成果情報 第5号 【1997(平成9年度)】

タイレリア・パルバ原虫感染ダニの牛皮膚付着部位における免疫担当細胞の動態

〔 要約 〕東海岸熱に対するワクチン開発のための基礎的知見を得るために、タイレリア・パルバ原虫感染ダニの付着部位である牛皮膚における免疫担当細胞の動態を、免疫組織化学により明らかにした。
所属 国際農林水産業研究センター・畜産草地部 連絡先 0298-38-6308
推進会
議 名
国際農業 専門 生理 対象 乳用牛, 肉用牛 分類 研究

[ 背景・ねらい]

東海岸熱は、タイレリア・パルバ(Theileria parva)を病原体とし、ダニ(Rhipicephalus appendiculatus)によって媒介される牛タイレリア病の一つである。牛に致死的な疾患を引き起こすため、アフリカ地域に甚大な被害を与えており、ワクチン開発による効果的な防除が求められている。感染ダニの牛皮膚への付着後数日にわたり、スポロゾイトが接種される。その時、炎症反応が起こることが知られているが、どのような免疫担当細胞が関与するかは明らかではない。原虫と免疫系の初期の相互作用を解析することは、最適なワクチン接種法の戦略を考える上で重要であり、スポロゾイトを中和するワクチンの開発にあたっての基礎的知見となる。


[成果の概要・特徴]
  1. 牛白血球分化抗原や主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に対するモノクローナル抗体(表1)を用いて、様々な免疫担当細胞の動態を免疫組織化学的に検索したところ、炎症反応はダニ付着部位の近くで顕著であり、CD4+、CD8+、及びWC1+T細胞の増数と、皮膚の肥厚がみられ、経過とともに程度が著しくなった(表2)。
  2. WC1+T細胞は、CD4+あるいはCD8+T細胞より多くみられ、その機能は明確ではないが、炎症反応や組織の変性に関与すると考えられる(表2)。
  3. 多数のclass II MHC陽性細胞の浸潤が真皮にみられ、ほとんどはCD11b+細胞であった。付着後4日の表皮には、通常見られないCD1+樹状細胞とCD11b+細胞が検出された(表2)。これらの抗原提示細胞は、免疫応答に重要な役割を果たしている。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本研究で得られた皮膚の免疫応答に関する知見は、他のダニ媒介性疾病の皮膚病変を解析する上で、有用である。
  2. 国際家畜研究所(ILRI)では、様々なベクターを利用したサブユニットワクチンの開発が進行中であり、ワクチン接種部位の皮膚や、ワクチン接種牛の感染ダニ付着部位での免疫応答の解析が、今後望まれる。

[具体的データ]

表1

表2


[その他]
研究課題: ピロプラズマ病のワクチン開発に関する研究
−アフリカ東海岸熱における牛免疫担当細胞の免疫病理学的研究−
予算区分: 経常
研究期間: 平成9年度(平成6〜9年)
研究担当者: 松原 豊
発表論文等: Y. Matsubara et al. (1995) Immunohistological analysis of the tick attachment site of Rhipicephalus appendiculatus. P138, Fourth International Veterinary Immunology Symposium (Abstract)., D. McKeever, Y. Matsubara et al. (1996) Dendritic cells infected with Theileria parva induced primary bovine CTL responses in the absence of disease. P164,12th International Conference on Lympoid Tissues and Germinal Center in Immune Reactions (Abstract).
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