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国際農林水産業研究成果情報 第7号 【1999(平成11年度)】

香り米中の香り成分の定量法

〔 要約 〕香り米に含まれる香り成分である2−アセチル−1−ピロリンを同位体希釈法を利用した方法により、正確で簡便に定量することが可能である。また、香り米の植物体にも本物質が含まれている。
所属 国際農林水産業研究センター・生産利用部 連絡先 0298(38)6358
推進会
議 名
国際農業 専門 食品 対象 水稲 分類 国際

[ 背景・ねらい]

一部途上国では我が国と異なり、ポップコーン様の香りのある米が好まれる。この香り米の特徴的な香り成分は、2−アセチル−1−ピロリンであるが、この成分は揮発しやすいことと、香り米に含まれる量が極微量であることから、正確な定量を行うことが困難である。四国農業試験場においては、国内香り米の品質評価のため、香り成分の定量を開発したが、香り成分標準品の合成、定量における客観性等の問題のため、適用が難しい。

本研究では、重水素標識を行った2−アセチル(d3)−1−ピロリンを合成し、重水素標識体を内部標準とした同位体希釈法で香り米の2−アセチル−1−ピロリンの正確・簡便な定量法を開発し、タイ東北部産の良食味香り米品種であるカオドマリ105の香り成分を定量する。


[成果の概要・特徴]
  1. 香り米香り成分である2−アセチル−1−ピロリンの標品および重水素標識体2−アセチル(d3)−1−ピロリンを合成することが必要である。従来の合成法はロジウムを触媒とし、高圧の水素ガスを用いて接触還元しているので、危険かつ高価である。そこで、選択的に安定同位体を標識でき、安価な試薬を使用する合成方法を開発・適用すると、簡易な合成が可能である(図1)。
  2. 得られた標品および重水素標識体を使用し、同位体標識法を使ったガスクロマトグラフ質量分析計の単一イオンモニタリングによる定量が可能である(図2)。
  3. 香り米の精米・苗の各部より2−アセチル−1−ピロリンを抽出する方法を確立し、カオドマリ105を測定したところ、植物体のうち、苗の部分に香り成分が含まれ、根には香り成分が含まれない。

[成果の活用面・留意点]

香り米の香り成分である2−アセチル−1−ピロリンを定量するために、重水素標識体を合成する必要があり、比較的高価な重水素化試薬を使用する必要がある。また、正確な分析を行うため、同位体希釈法を使用しているので、ガスクロマトグラフ質量分析計の使用が必須である。


[具体的データ]

図1 図2


[その他]
研究課題: 国内外産米の理化学的特性の評価
予算区分: 経常
研究期間: 平成9〜11年
研究担当者: 吉橋 忠
発表論文等: Yoshihashi,T. (1999) Quality evaluation of Khao Dawk Mali 105. Highlight of Collaborative Research Activities between Thai Research Organizations and JIRCAS. 144-145 (1999)
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