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国際農林水産業研究成果情報 第7号 【1999(平成11年度)】

土壌への有機物供給能力からみた農牧輪換システムへの導入優良イネ科草種

〔 要約 〕ブラジル・サバンナのオキシソル(暗赤色ラトソル土壌)地帯におけるイネ科牧草5種の中で、土壌への有機物の供給能力の視点で地下部バイオマスを評価すると、Brachiaria brizanthaが最も多く、農牧輪換システムへの導入に適した草種である。
所属 国際農林水産業研究センター・畜産草地部、ブラジル農牧研究公社肉牛研究センター 連絡先 0298(38)6365
推進会
議 名
国際農業、草地 専門 栽培 対象 牧草 分類 研究

[ 背景・ねらい]

現在、南米の亜熱帯地域では、牧草地と農耕地を相互に輪換することにより、地上部は放牧に利用しつつ、作物の連作によって損耗した耕地土壌中の有機物を回復させようとする農牧輪換システム(アグロパストラルシステム)の開発が進められている。そこで本研究では、主要牧草の地下部バイオマスを比較し、土壌への有機物供給能力という視点から農牧輪換システムの導入に適した草種を明らかにする。


[成果の概要・特徴]
  1. ブラジルのマットグロッソドスル州において少肥条件下(造成時に化成肥料でN-P2O5-K2Oを0-80-80kg/ha施用)及び多肥条件下(同0-160-160kg/ha施用)で造成された5種の草地〔Brachiaria decumbens (BD), B. brizantha (BB), Panicum maximum 品種Tanzania (TA), P. maximum品種Tobiata (TO)及びAndropogon gayanus(AN)〕において造成3年目に地上部及びリター並びに地下部0-10cm、10-20cm、20-40cmの各草種の地下部バイオマス(乾物量)は、全植物体バイオマスの53-76%を占め、輪作体系下では重要な有機物供給源である(図1)。
  2. 両施肥条件下ともに各草種の地上部バイオマス量の差は顕著でないが、地下部バイオマス量はBB>BD>TA>TO>ANの順であり、 BBの地下部バイオマスが他草種に比較して有意に大きく、特にこの傾向は多肥区において顕著である(表1)。
  3. 地下部バイオマスは下層にいくにしたがって減少したが、どの層においてもBBの地下部バイオマスが他の草種を上回る(表2)。
  4. 以上の結果から、土壌への有機物供給能力は供試草種の中ではBBが最も高く、この観点からは農牧輪換システムの導入にはBBが良い。

[成果の活用面・留意点]
  1. 農牧輪換システムに導入する草種選定の判断基準となる。
  2. オキシソル以外の土壌条件下では、違った傾向が予想される。

[具体的データ]

図1

表1.少肥及び多肥下の地下部バイオマス
草種/品種 地下部バイオマス(tDM/ha)
表2.多肥下の各層別の地下部バイオマス
草種/品種 地下部バイオマス(tDM/ha)
  少肥下 多肥下 平均   -10cm 10-20cm 20-40cm
B. decumbens 9.6 13.7 11.7b B. decumbens 8.56ab   2.59b 2.57ab
B. brizantha 16.2 21.9 18.7a B. brizantha 11.63a 5.15a 4.30a
P.maximum/TA 8.6 10.4 9.5b P. maximum/TA 6.35b 2.58b 1.49b
P.maximum/TO 7.9 10.1 9.0b P. maximum/TO 6.29b 2.67b 1.10b
A.gayanus 6.4 8.2 7.3b A. gayanus 4.95b 1.62c 1.63b
平均 9.7 12.7 11.2 平均 7.56 2.92 2.22
注:異なる文字間には有意な差がある
(p<0.05)。
注:異なる文字間には有意な差がある
(p<0.05)。

[その他]
研究課題: ブラジル中南部における持続型農牧輪換システムの開発
−持続型農牧輪換システムにおける草地利用・管理技術の開発−
予算区分: 国際研究[農牧輪換システム]
研究期間: 平成9〜11(〜13)年
研究担当者: 菅野 勉・ Manuel C. Macedo・Valeria P.B. Euclides (ブラジル農牧研究公社)
発表論文等: Kanno,T., M.C.Macedo, V.P.B.Euclides, J.A.Bono, J.D.G.Santos Jr., M.C.Rocha and L.G.R.Beretta (1999) Root Biomass of Five Tropical Grass Pastures under Continuous Grazing in Brazilian Savannas. Grassland Science 45(1):9-14.
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