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国際農林水産業研究成果情報 第7号 【1999(平成11年度)】

作業道におけるフタバガキ科セラヤの更新技術

〔 要約 〕半島マレイシアにおいて丘陵フタバガキ林の主な伐採対象樹種であるセラヤが天然更新する条件を調査した。その結果、従来のブルドーザを用いた集材方法でも、 地形やセラヤの種特性を考慮することで、持続的な森林経営を行うことが可能となる。
所属 国際農林水産業研究センター・林業部、マレイシア森林研究所 連絡先 0298(38)6360
推進会
議 名
国際農業 専門 森林造成 対象 広葉樹 分類 国際

[ 背景・ねらい]

現在、半島マレイシアでは標高300メートル以上に分布する丘陵フタバガキ林で主な伐採が行われている。ここの尾根にはフタバガキ科樹木であるセラヤ(Shorea curtisii)が優占し、この樹種が主に伐採の対象となっている。このセラヤが伐採後に再生するための条件を、もっとも大きな撹乱を受ける作業道のデータを中心に用いて検討する。


[成果の概要・特徴]
  1. 1988年に択伐されたマレイシアのスマンコック森林区にある約500mの作業道に更新するセラヤ稚樹の更新状況を調査した結果、以下のことが分かる。
  2. 作業道の3割の長さをしめる平坦な尾根では、比較的大きな個体が多い。傾斜のある尾根は、全体の1割しかないものの、平坦な尾根に更新した稚樹とほぼ同数が更新しているものの、樹高が1m以下の小さな個体が大半である(図1)。
  3. 作業道上に落下した種子は多少リターに被われていた方が定着して成長する確率が高いが、傾斜のある尾根では伐採直後に地表面をリターが覆うのが平坦な尾根よりも遅れるため、比較的小さな個体が多いと推測される。一方、斜面では稚樹が全く更新していない(図1)。これは、作業道の傾斜と少ない母樹数が主な原因と推測される。
  4. 平坦な尾根、傾斜のある尾根および斜面に植栽した苗木の成長結果では、傾斜のある尾根のものが一番で、平坦な尾根と斜面がほぼ同様の成長を示している(図2)。これは、ブルネイ等の植栽実験とほぼ同様の結果である。このことから、天然更新の困難な斜面でも植栽をすれば更新することがわかる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 従来のブルドーザ集材方法でも、伐採時に地形を考慮した作業方法によりコストをかけずに次世代の天然更新を進められる。
  2. 降雨が作業道の上を流れるのを防ぐ経済的、効率的な方法の開発が必要である。具体的には伐採後の林道に伐採で切り払われた枝葉などをおいておく方法が考えられる。また、斜面下部では伐採終了後、すぐに苗木を植栽する必要もある。

[具体的データ]

図1

図1 地形別の樹高の頻度分布

図2

図2 作業道に植物栽された苗木の樹高成長


[その他]
研究課題: 熱帯産在来有用樹の再生技術に関する基礎的研究開発
予算区分: 国際研究[在来有用樹]
研究期間: 平成8〜11年
研究担当者: 落合幸仁・Azman Hassan(マレイシア森林研究所)
発表論文等:
  1. 落合幸仁(1996)、セラヤ 熱帯林の造林特性第1巻、 国際緑化推進センター、157−160、落合幸仁(1996)、カプール類 熱帯林の造林特性第1巻、国際緑化推進センター、174−179、落合幸仁(1996)、ウプン 熱帯林の造林特性第1巻、国際緑化推進センター、180−183、落合幸仁(1999)、熱帯樹種の造林特性(15)メランティサランプナイ、熱帯林業86-88
  2. Ochiai, Y and Sasaki, S. (1997),Regeneration of Seraya(Shorea curtisii) on logging roads in Semangkok, Peninaular Malaysia(口頭発表) Ochiai, Y and Azman H. (1999)、Regeneration and growth of Seraya seedlings on a logging road in Peninsular Malaysia,The meeting on harvesting and regeneration techniques for tropical rain forest, Oct. 1999
  3. 落合幸仁(2000)、熱帯林の再生、環境ハンドブック第二版、朝倉書店(印刷中)
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