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国際農林水産業研究成果情報 第7号 【1999(平成11年度)】

亜熱帯地域の降雨エネルギーおよび雨滴粒径分布の特性

〔 要約 〕マイクロフォン型雨滴粒径測定装置による降雨エネルギー値算定法を用いると、石垣島(亜熱帯)とつくばの実測値はWischmeier式(降雨エネルギー式)を上限に三原式を下限に幅広い分布を示す。石垣島では弱い降雨強度でWischmeier式を超える過大領域が存在する。
所属 国際農林水産業研究センター・沖縄支所地力維持研究室 連絡先 09808(3)7112
推進会
議 名
国際農業 専門 土壌 対象 現象解明技術 分類 研究

[ 背景・ねらい]

近年、沖縄本島を始めとする南西諸島の沿岸海域において、大量の赤土が河川から流出し、サンゴ礁や藻場の生態系に著しい影響を及ぼしている。ことに、亜熱帯地域では降雨強度、雨滴粒径とも大きく、流域の侵食に与える影響も大きい。既存の降雨エネルギー式は、降雨強度に対して一義的なエネルギー値を算出するが、実際の降雨エネルギーの分布は広範囲であり、地域別の降雨エネルギー値の特性も明らかでない。降雨エネルギー値の算定には雨滴粒径、個数と落下速度を必要とする。従来、粒径測定には濾紙を数秒間降雨に当て、その痕跡から雨滴径を判定するという煩雑な濾紙法が用いられてきた。マイクロフォン型雨滴粒径測定装置(Disdrometer;図1)は、雨滴径と個数の自動測定が可能であり、この装置の観測値から降雨エネルギー値を簡単に精度よく算出し、亜熱帯地域の降雨エネルギーと雨滴粒径分布の特性を明らかにする。


[成果の概要・特徴]
  1. マイクロフォン型雨滴粒径測定装置は、雨滴粒径0.3mm以下では感知不能であり、粒径1mmまでは感知漏れがあるが、それによる降雨エネルギー値の誤差は0.19〜2.48%と極めて小さく、実用上支障のない量であり、本装置が精度良い降雨エネルギー値算定の手段となる。
  2. 石垣島(亜熱帯)およびつくば(温帯)における実際の降雨強度に対する降雨エネルギーKE値は、現在一般に使われるWischmeier式を上限に、三原式を下限とし、1個の式では表せない程に幅の広い分布をしている(図2)。特に、石垣島(亜熱帯)の降雨エネルギー値では、降雨強度30mm/h以下でWischmeier式をも超える過大領域が見られる。
  3. 降雨強度8.5mm/hで過大領域にある石垣島のエネルギー値(KE=29J/m2・mm)とつくば(18J/m2・mm)を比較すると、その粒径分布は、前者では0.5〜5mm粒径まで広い範囲に分布するが、後者では1〜2mmのところにピークをもつ狭い範囲に分布が集中している(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本測定法による降雨エネルギー値は、国頭マージ等亜熱帯地域の土壌侵食量の推定、USLE 式における降雨係数の算定、飛散(雨滴)侵食量の推定、土壌クラストの生成過程の解明に利用できる。
  2. マイクロフォン型雨滴粒径測定装置を使用する場合、雨量計との併用が望ましい。

[具体的データ]

図1

図1 Disdrometer(雨滴粒径分布測定装置)の構成

図2

図2 降雨強度と降雨エネルギー値の関係(石垣島1995年,つくば1994年)

図3

図3 石垣島とつくばでの粒径分布特性


[その他]
研究課題: 流入物質が汽水域の生物生産機能に及ぼす影響の解明
予算区分: 国際農業[汽水域]、経常
研究期間: 平成11年(平成7〜11年)
研究担当者: 坂西研二、麓多門(農環研)、大脇良成(農研センター)、菅原和夫(農環研)
発表論文等: Disdrometerを用いた雨滴粒径分布と運動エネルギーの測定、農業土木学会論文集、204号,119〜125(1999)
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