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国際農林水産業研究成果情報 第8号 【2000(平成12年度)】

環境インパクトの小さい熱帯天然林の伐採技術

〔 要約 〕天然林択伐作業技術として伐倒方向の制御およびタワーヤーダ集材方式を活用することにより、集材作業における環境インパクトを著しく減少できる。
所属 国際農林水産業研究センター・林業部、マレイシア森林研究所(FRIM) 連絡先 0298(38)6363
推進会
議 名
国際農業 専門 森林生産 対象 熱帯広葉樹 分類 研究

[ 背景・ねらい]

マレイシアの木材生産林として区分されている丘陵フタバガキ天然林では、択伐−天然更新による持続的森林管理・利用が長期にわたって実施されてきた。従来の択伐作業では森林環境への影響が非常に大きく、有用樹の天然更新が阻害され将来の森林生産が困難になるほか、多様性の少ない林相へ劣化してしまう例が多い。熱帯天然林の択伐作業に焦点をあて、インパクトの定量を行うとともに、これまでの方法を分析・改善し、インパクトの少ない伐採方法を提案する。


[成果の概要・特徴]
  1. ブルドーザ集材の跡地では、土壌圧密によって土壌密度が大きくなる(1.7程度以上)。この圧密撹乱は年数とともに回復するが、とくに乾燥している尾根上では回復が遅く、湿潤な斜面では早い傾向である(表1)。
  2. 伐倒方向の制御は残存木への被害低減に効果が大きく、その制御可能範囲は、大径木(樹高50m,胸高直径50cm超)では、立木の自然傾斜方向から左右45゜まではほぼ確実で、条件によっては90゜まで可能である。しかし、巨大な板根を持つ径木では、伐倒角度は板根の方向に規制される(図1)。
  3. タワーヤーダ利用の熱帯大径木架線集材技術開発の基本コンセプトは、
    1)集材路の作設を主尾根上に限定し、重機械を斜面や沢に入れないこと、および
    2)まばらな伐採対象木の択伐に適合させるため、架設撤去の容易さと機動性を追求することであり、ケーブル張力は地形条件に応じて変化させる。
  4. トレンガヌ州丘陵フタバガキ林の択伐地での実証試験において、スパン260m・横取り幅50mが実用的な作業範囲として確認でき、これまで26mmの主索を使用していた6トン材の運搬に20mm主索の利用が可能となり、架設撤去時間の大幅短縮と負荷の低減、機体重量の軽減が実現できた(図2)。 この方法により、集材跡地に強度攪乱(表土喪失と圧密を伴う)のほとんど見られない低インパクトな集材が可能となる。

[成果の活用面・留意点]

タワーヤーダを利用した架線集材による択伐技術を熱帯天然林に利用するためには実用化の検討を必要とする。


[具体的データ]

表1 図1 図2


[その他]
研究課題: 熱帯天然林伐採方法の検討
予算区分: 国際農業〔熱帯荒廃二次林〕
研究期間: 平成12年度(8〜10〜13年度)
研究担当者: 佐々木尚三・Md. Farid Abd. Rashid・Ahmad
Salam(FRIM〉・山田健(森林総研)
発表論文等:

 

  1. S. Sasaki, Y. Ochiai, T. Yamada, S. Umeda, Ahmad S., Directional felling and its effect on site in a Dipterocarp forest, Peninsular Malaysia, Extended Abstract Volume of IUFRO Div. 8 Conf. Proc., 19-23 Oct. 1998, Kyoto, Japan.
  2. S. Sasaki, R. Oikawa, Ahmad S., Adnan A., T. Yamada, New mobile skyline yarder for low impact harvesting in Malaysian forests, Abstract of the Meeting on Harvesting and Regeneration Techniques for Tropical Rain Forest, 11-13 Oct 1999 Kuala Lumpur.
  3. S. Sasaki, R. Oikawa, Ahmad S., Adnan A., Development of a New mobile skyline yarder for harvesting Malaysian forests, CFFPR 1999 "Tropical Forest Harvesting: New Technologies Examined", 22-24 Nov 1999, Kuala Terengganu.
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