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国際農林水産業研究成果情報 第9号 【2001(平成13年度)】

東北タイの天水田稲作地帯における乾田直播栽培の適用性

要約 東北タイ天水田稲作地帯において、乾田直播栽培の導入が移植労力の不足と 降雨の不安定性を克服する手段として効果的であり、移植稲並の収量を得ることがで き、また不耕起と組み合わせることによる一層の省力化が期待できる。
担当 生産環境部 椛木信幸、田村治男、Uthai Arromratana(タイ農業局)、Tawachai Na Nagara(タイ農業局)
分類 国際

[ 背景・ねらい]

東北タイの水田面積は全国の約55%を占め、国内のコメ生産において大きな役割を果たしている。しかし、その9 割が灌漑できず降雨に依存する天水田であり、かつ低肥沃度砂質土壌における栽培であることから生産性が低く、また年次変動が大きい。一方では都市への人口集中化による労力不足も深刻化している。そこで、降雨の不安定性と移植労力の不足を克服する手段として有力な、乾田直播栽培技術を確立する。


[成果の概要・特徴]
  1. 東北タイの低地氾濫源に位置するロエット県ツンクラロンハイ地域の過去7年間の稲作付開始時の降雨量は、年次変動が著しく大きい。移植に必要とされる累積降雨量600mm に達する時期は5 〜 8 月と幅広く変動し、主力品種カオドマリの移植晩限である8 月上旬においても用水が確保できない年が認
    められる(図1)。
  2. 同地域において、1998 〜 2001 年の4 年間、土性が異なる農家圃場12 カ所で水稲乾田直播の実証試験を実施し、同地域に適合した雑草防除、施肥等の耕種法を明らかにした。気象条件との関係では、乾田直播した水稲の収量は、干ばつ年では用水の不便で作付けが遅れた移植稲より高く、また通常および洪水年では移植稲とほぼ同等である。栽培様式としての不耕起と耕起の差は認められず、播種法としては、散播はかんばつ年において個体間競合のために収量が低くなる傾向が認められる(表1)。
  3. 乾田直播の方式としては、特に不耕起播種が労力節減の面から有望である。駆動ディスクとドリルシーダからなる不耕起播種機の試作を行い、大規模栽培の実証試験を行った結果、周辺農家水田の移植稲並み以上の収量を得た(表2,図2)。
  4. 以上のことから、東北タイの天水田地帯において降雨の到来が遅れて移植用水が不足する年においては、水稲の作付けを促進する手段として乾田直播の適用性が高い。
[成果の活用面・留意点]
  1. 乾田直播においては、雑草防除がとくに重要であり、雑草の種類、土壌水分状態に応じた適切な防除技術を確立する必要がある。
  2. 東北タイの砂質水田土壌は地耐力が高く、また、作溝が容易であることから、不耕起播種機の適用性が高い。現地の技術水準に応じた播種機の開発と普及が期待される。

[具体的データ]


[その他]
研究課題:
タイ東北部における高収益水田輪作システムの開発
予算区分:
国際プロ〔東北タイ〕
研究期間:
2001 年度(1996 〜 2001 年度)
研究担当者:
椛木信幸・田村治男・ウタイ アロムラタナ(タイ農業局)・タワチャイ ナ ナガラ(〃)
発表論文等:  
  1. Kabaki, N. et al (2001): Development of a sustainable lowland cropping system in Northeast Thailand. Proceedings of "The 5th ESAFS International Conference on Rice Environment and Rice Products" May 2001, Krabi, Thailand

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