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国際農林水産業研究成果情報 第9号 【2001(平成13年度)】

広域灌漑地区における雨量計密度の評価

要約 少ない雨量観測点から降雨分布特性を推定する方法を用い、熱帯モンスーン地域の降雨分布例を示すとともにこれから雨量計密度を評価する方法を開発した。
担当 生産環境部 堀川直紀
分類 行政

[ 背景・ねらい]

農地へ直接降雨があると配水を中止もしくは減少させることが可能であり水の節約となる。空間的に分布する降雨を正確に把握するには多数の雨量計が必要であるが、雨量計の数、すなわち雨量計密度は費用とその効果から判断されなければならない。
雨量観測密度の従来の評価方法では多数の雨量計の平均雨量を真値とし、これを雨量計を間引いて算定した平均雨量と比較する。この方法では多数の地点雨量データが必要でまた検討に使用した観測を越える雨量計密度の評価が行えない。マレーシアムダ地区の雨量計密度を例として少ない観測点からの雨量分布特性の推定を検討し、雨量計密度と観測精度を明らかにする手法を開発する。


[成果の概要・特徴]
  1. 雨量分布の特性を把握するため、大きな降雨と面積の関係を求めるために使われてきたDA(Depth-Area)式を適用し、その一つであるHorton 式を簡略化した(式1)。地点降雨数10 の地区において385の日降雨に対して雨量の大きさに係わらず同定したところ各地点観測降雨とそれに対する推定降雨の
    相関係数が0.78 という結果が得られた。例として同定された式と実測雨量を比較して図1 に示す。
  2. 各降雨で得られた係数k の分布を見たところ95%の降雨の係数k は0.6 から 0.0 に含まれ、残りの5%は係数k が2.0 を越える極めて局地的な降雨であった。係数k の平均である0.2 について雨量と面積の関係を求めてアメリカ中央平原部で気象庁が大降雨について得た関係と併せて図2 に示す。
  3. 雨量計密度を設定し、それに係数k を与えた降雨特性を想定して模擬降雨を降らせて雨量計密度と観測精度の関係を算出した。これとムダ地区における係数k の分布を重ね合わして観測雨量の90%信頼区間と中央値を求めて図3 に示す。1970 年から現在までの間に大幅に観測精度が向上したこと、中央値がほぼ実際雨量と等しいことから降雨はほぼ捕捉されていること、今後の雨量計密度の増大に対して信頼区間はほとんど小さくならないことからこれ以上の精度の向上には多くの雨量計の設置が必要であることが判断された。
[成果の活用面・留意点]
  • 熱帯モンスーン地域の平坦な灌漑地区における雨量計設置計画に利用することができる。しかし、用水の節減量そのものを推定できないので今後の検討が必要である。

[具体的データ]


[その他]
研究課題:
熱帯モンスーン地域における広域水田用水量を節減する配水管理手法の開発
予算区分:
法人プロ〔小規模灌漑〕
研究期間: 2001 年度(1998 〜 2001 年度)
研究担当者:
堀川直紀
発表論文等:  
  • (とりまとめ中)

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