x
TOP >アーカイブス(刊行物:国際農林水産業研究成果情報第9号)

国際農林水産業研究成果情報 第9号 【2001(平成13年度)】

水稲の登熟期におけるメタン発生と稲根圏のメタン酸化細菌数には稲品種間差がある

要約 亜熱帯水田の稲根圏にはメタン酸化細菌Methylosinus spp.が生息し、稲根圏の菌数は水田からのメタン発生量が多くなる出穂期から登熟期にかけて増加する。水稲の登熟期におけるこの菌数とメタン発生流量とは稲品種間で有意に差がある。
担当 沖縄支所 安達克樹、中村乾、B.Wang(沖縄招へい研究員)、D.Dianou(沖縄招へい研究員)、B.M.Espiritu(沖縄招へい研究員)、G.Oyediran(沖縄招へい研究員)、W.Chaitep(沖縄招へい研究員)、仙北俊弘
分類 研究

[ 背景・ねらい]

メタンは地球温暖化に関わる温室効果ガスの一つで、水田からも発生する。一方、メタン酸化細菌は稲根圏にも生息し、メタンを二酸化炭素に酸化してメタンの発生を抑制する。亜熱帯水田や水稲ポットからのメタンの発生量は稲の出穂期から登熟期にかけて多くなるため、この時期の水稲根圏におけるメタン酸化細菌の菌数およびメタン酸化活性に着目しながら、草型の異なる稲3 品種間におけるメタン発生の違いについて検討する。


[成果の概要・特徴]
  1. 亜熱帯水田(軽埴土・沖積土壌)の稲根圏からMethylosinus 属のメタン酸化細菌が分離される(図1)。
  2. 稲根圏のメタン酸化細菌の菌数はメタン発生量の多い出穂期から登熟期にかけて増加し、同じ時期の非根圏土壌のメタン酸化細菌数は減少する(図2)。
  3. 亜熱帯水田土壌を用いたポット試験では、草型の異なる稲3 品種(チヨニシキ:日本型、IR72:インド型、IR65598(New Plant Type):トロピカルジャポニカ型)の中で、メタン発生量の多い登熟期におけるメタン発生流量、根のメタン酸化活性とメタン酸化細菌数を比較すると、根のメタン酸化活性が高くメタン酸化細菌数も多いIR65598 では、メタン発生流量が最も低い(表1)
[成果の活用面・留意点]
  1. 稲品種間のメタン発生流量の違いを、亜熱帯水田圃場で確認する必要がある。
  2. 選定品種が実際に現地に受け入れられるためには、食味についても配慮する必要がある。

[具体的データ]


[その他]
研究課題: 熱帯・亜熱帯地域特有の植物・微生物による効率的環境管理技術の開発
予算区分: 国際農業〔効率的環境管理〕
研究期間: 2001 年度(1992 〜 1999 年度)
研究担当者: 安達克樹、中村乾、B. Wang、D. Dianou、B.M. Espiritu、G. Oyediran、W. Chaitep、仙北俊弘
発表論文等:  
  1. Espiritu, B.M. et al.(1997): Effect of application of rice straw and cellulose on methane emission and biological nitrogen fixation in a subtropical paddy field. III. Populations of methane-oxidizing bacteria in soil and rice rhizosphere. Soil Sci. Plant Nutr. 43(3): 729-734.
  2. Dianou, D. and Adachi, K.(1999): Characterization of methanotrophic bacteria isolated from a subtropical paddy field. FEMS Microbiol. Lett. 173(1): 163-173.
  3. Wang, B. and Adachi, K.(2000): Differences among rice cultivars in root exudation, methane oxidation, and populations of methanogenic and methanotrophic bacteria in relation to methane emission. Nutr. Cycling Agroecosys. 58(1/3): 349-356.
  4. Adachi, K.(2001): (Minireview) Methanogenic archaea and methanotrophic bacteria in a subtropical paddy field and their interaction: Controlling methane missions from paddy fields. Microb. Environ. 16(4): 197- 205.

前のページ

Index