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国際農林水産業研究成果情報 第11号 【2003(平成15年度)】

熱帯のサイレージ醗酵に適した優良乳酸菌

〔 要約 〕タイ国で良質サイレージを調製するための乳酸菌を熱帯対応型改良パウチ法を用いて検索し、高温(45 °C)下に速やかに増殖して多量の乳酸を生成する優良乳酸菌株を分離した。分離株は少ない菌接種量でも共存する酵母やコリ型細菌の影響をあまり受けず、接種量を増やすと乳酸量が増大し、共存他種微生物の生菌数を低下させた。
所属 国際農林水産業研究センター・畜産草地部 連絡先 029(838)6365
推進会
議 名
国際農林水産業 専門 畜産・飼料 対象 乳牛 分類 研究

[ 背景・ねらい]

タイ国では都市部を中心に牛乳類の消費が急増しているものの、新鮮乳生産量は需要の60%に止まっている。タイ農業共同省畜産局では新鮮乳生産の自給率向上のために良質サイレージの給与を奨励しているが、良質サイレージの調製は必ずしも容易ではない。その原因の一つは、タイ国の気候風土に適応したサイレージ用乳酸菌が利用されていないことにもある。

そこで、酵母及びコリ型細菌(CFB)とともに乳酸菌(LAB)を接種して固体混合培養する熱帯対応型改良パウチ法を用いて、タイ国での良質サイレージ調製のためのLABを検索する。


[成果の概要・特徴]
  1. タイ国のサイレージ14点から分離した450株のLABをMRS培地で培養し、培地のpHを4 以下にまで低下させた15株を選抜して、それらのサイレージ適性を改良パウチ法で検定し、以下の3菌株を優良株として評価した。
  2. トウモロコシ・サイレージから分離したSP1-3株(Lactobacillus plantarumと仮同定)は初期増殖速度はやや遅いものの、高温適応性及び乳酸耐性に優れ、最適温度45°Cにおける48 時間の液体培養では培地中糖量の約94%に相当する14mg/mlの乳酸を生成した。
  3. 同じくトウモロコシ・サイレージから分離したPediococcus属のCS5-5株とCS1-8株(ともにacidilacticipentosaceus種群)は速やかな初期増殖を示し(図1 - B)、乳酸生成の最適温度及び対糖収率は40°C及び約60%であった。
  4. SP1-3株の培養21日目の最終乳酸量はLABの接種量が他の微生物のそれよりも103倍多い(図1-B:105cfu/g)時に新鮮物中約1.5%(対糖収率100%)、他と同水準の時(図1-A)に新鮮物中約1.0%(対糖収率67 %)であったが、酵母の接種量が多い時(図1-D)には新鮮物中約0.8%(対糖収率53%)にまで減少した。
  5. 自然界のサイレージ材料にはCFBや酵母の生菌数が多く、LABはむしろ少ない。しかし、SP1-3株やCS1-8株を接種することによって酵母やCFBの増殖を抑制することができ、特に酵母に対して顕著な抑制効果が認められた(図2)

[成果の活用面・留意点]
  1. SP1-3株は高温条件下に多量の乳酸を生産して雑菌の増殖を抑制することから、タイ国における高品質サイレージの調製に活用できる。
  2. また、CS 5-5株(あるいはCS1-8 株)は初期増殖に優れ、上記SP1-3株と併用するとさらなるサイレージの高品質化に活用できる。
  3. 接種菌量は原物当り105cfu/g程度にすることが望ましい。

[具体的データ]

図1
図2


[その他]
研究課題: タイ国における農業・農産物への乳酸菌の応用に関する研究
予算区分: 国際プロ〔乳酸菌応用〕
研究期間: 2003 年度 (2000 〜 2003 年度)
研究担当者: 大桃定洋、Sunee Nitisinprasert(カセサート大学)、Supanit Hiranpradit(タイ農業局)
発表論文等:
  1. Ohmomo, S., Nitisinprasert, S. and Hiranpradit, S.(2002): Silage-making and recent trend of dairy farming in Thailand. JARQ, 36(4):227-234.
  2. Ohmomo, S., Nitisinprasert, S. and Hiranpradit, S.(2003): How to screen favorable lactic acid bacteria strains, from the case of bacteriocin producing strain and silage fermentation starter strain. Proceeding CDROM, The World of Indigenous Fermented Foods for Technology Development and Food Safety, 1-6. August 2003, Kasetsart University, Bangkok.
  3. Ohmomo, S., Nitisinprasert, S., Kraykaw, D. and Hiranpradit, S.(2003): Modification of the pouch method to evaluate the ability of lactic acid bacteria strains for making good quality silage in Thailand. JARQ, submitted.

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