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国際農林水産業研究成果情報 第12号 【2004(平成16年度)】

出穂特性の異なる小麦8品種が持つVrnおよびPpd遺伝子

〔 要約 〕Vrn遺伝子について、小麦品種「フクワセコムギ」、「ゼンコウジコムギ」、「Schomburgk 」はそれぞれVrn-D1Vrn-D1Vrn-A1を持つ。Ppd遺伝子について、「ハルヒカリ」は主働遺伝子を持たず、「農林59号」、「農林67号」、「農林61号」、「ゼンコウジコムギ」、「埼玉27号」、「Schomburgk 」の6品種は1個の同じ主働遺伝子を持ち、「フクワセコムギ」は2個の主働遺伝子を持つ。
所属 国際農林水産業研究センター・沖縄支所 連絡先 0980(88)6301
推進会
議 名
国際農林水産業 専門 育種 対象 小麦 分類 研究

[ 背景・ねらい]

小麦の品種育成において出穂期は重要な形質のひとつである。出穂期を決定する重要な遺伝子として、低温要求性に関係するVrn遺伝子(Vernalization-insensitive gene :秋播性を春播性にする遺伝子)と日長反応性に関係するPpd遺伝子(Photoperiod-insensitivegene:長日性を中性にする遺伝子)が知られている。しかし、日本品種について、Vrn遺伝子型は多くの品種で不明であり、また、Ppd遺伝子型は明らかにされていない。そこで、日本品種の「農林59号」(vrn:秋播性)、「農林67号」(vrn)、「農林61号」(Vrn-D1)、「フクワセコムギ」、「ゼンコウジコムギ」、「埼玉27号」(Vrn-A1)、「ハルヒカリ」(Vrn-A1Vrn-B1)、オーストラリア品種の「Schomburgk」のうち未同定の3品種が持つVrn遺伝子と8品種が持つPpd遺伝子を明らかにする。


[成果の概要・特徴]
  1. 既知系統に対する対立性検定の結果、「フクワセコムギ」、「ゼンコウジコムギ」、「Schomburgk 」はそれぞれVrn-D1Vrn-D1Vrn-A1を持つ(表1)。
  2. 緑体春化処理(5°C・8時間日長条件の70日間)後の20°C・24時間日長条件における到穂日数は18〜27日で品種間差が小さい。一方、緑体春化処理後の20°C・8時間日長条件における到穂日数は「フクワセコムギ」26日、他6品種34〜42日、「ハルヒカリ」80日で品種間差が大きい(図1)。したがって、緑体春化処理後の20°C・8時間日長条件における到穂日数は、低温要求性とは関係なく、日長反応性の大きさの指標となる。
  3. 8品種間の交配組合せにおける日長反応性のF2・B1F1分析の結果、「ハルヒカリ」はPpd主働遺伝子を持たず、「農林59号」、「農林67号」、「農林61号」、「ゼンコウジコムギ」、「埼玉27号」、「Schomburgk」の6品種は1個の同じPpd主働遺伝子を持ち、「フクワセコムギ」は2個のPpd主働遺伝子を持つ(図1・表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 品種が持つVrnおよびPpd遺伝子に関する情報は品種育成に役立つとともに、分子遺伝学的研究に利用できる。

[具体的データ]


[その他]
研究課題:
世代促進の利用による早生化選抜技術の開発、小麦の世代促進における出穂特性の変異固定技術の開発
予算区分: 受託研究〔21世紀プロ・ブランドニッポン〕、基盤
研究期間:
2004年度(2002〜2005年度)
研究担当者:
谷尾昌彦・田村泰章・佐藤光徳・高木洋子・松岡誠・加藤鎌司(岡山大学)
発表論文等: 谷尾昌彦、田村泰章、佐藤光徳、荒木和哉、西尾善太、乙部千雅子、石川直幸、平将人、波多野哲也、松岡誠 (2004): 小麦の出穂早晩性に影響する遺伝的要因の地域間差異。育種学研究、第6巻別号1、135。

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