TOP >アーカイブス(刊行物:国際農林水産業研究成果情報第13号)

国際農林水産業研究成果情報 第13号 【2005(平成17年度)】

隣接カンキツ園への距離20m以内にあるカンキツ新植園での定植直後のミカンキジラミ防除の必要性(PDF210KB)

〔 要約 〕 カンキツグリーニング病媒介虫ミカンキジラミDiaphorina citri)は、既存カンキツ園との距離が20m以内にある新植園には、定植後半月内で多数侵入し、1ヶ月内に第一世代を出現させ、その後個体群を維持する。既存カンキツ園までの距離が20m以内にある新植園は、定植直後より侵入個体の防除が必要である。
所属 国際農林水産業研究センター・沖縄支所 連絡先 0980(82)2306
推進会
議 名
国際農林水産業 専門 作物虫害 対象 カンキツ類 分類 国際

[背景・ねらい]

カンキツグリーニング病に対する有効な管理方法が確立されていない。現在、無病苗定植とその後の浸透性薬剤による媒介虫制御が最も現実的対応とされる。しかし、本媒介虫の移動分散行動がよく研究されていないため、定植後の新植園へのミカンキジラミ(Diaphorina citri)(以下キジラミ)の侵入時期及び個体群変動が予測できず、薬剤施用の理論的根拠が確立されていない。新植園へのキジラミの侵入数は既存園までの距離と負の相関があると予想されるので、新植園における定植後の薬剤施用は、既存園までの距離に応じて最適化が図られるべきである。従って、新植園へのキジラミ侵入とその後の個体群密度変動が、新植園と既存カンキツ園との距離によりどのように変化するか調査する必要がある。


[成果の概要・特徴]
  1. キジラミの新植園への侵入は新植園と既存園との距離に依存し、20m以内の圃場では、成虫の樹当たり密度が0.1以上(最大成虫密度は0.9)にほぼ維持される(図1)。
  2. 定植後半月内で成虫が多数侵入した圃場では、侵入世代より第一世代の幼虫が定植後1ヵ月で出現し、そのときの樹あたりコロニー数は最大0.4に達する(図2)。
  3. 既存園から50m離れた新植園では、他の新植園に比べキジラミの侵入までの期間が長く、侵入頻度も低い。さらに、定植後半年内では次世代キジラミが出現しない(図1、2)。
  4. キジラミ侵入が殆ど起こらなかった50m圃場には、キジラミの餌資源及び産卵場所資源となる新梢数は多数の侵入があった他の圃場と同程度に存在する(図3)。従って、キジラミの新植園への侵入量の違いは、新梢数ではなく既存園までの距離に依存している。

[成果の活用面・留意点]
  1. 既存カンキツ園までの最短距離が20m以内にあるカンキツ新植園では、初期侵入キジラミ数が多く、次世代幼虫も多数出現する。侵入世代により罹病した果樹がある場合、このような幼虫は羽化後、さらに他の健全樹へ感染を拡大させる可能性が高い。このため、既存園までの距離が20m以内である新植園では、キジラミに対する防除を苗定植直後から行い、その後も継続する必要がある。
  2. 新植園のキジラミ侵入期間及びその頻度に関しては、距離以外の要因として定植時期、季節、地形、栽培体系、植生が考えられ、これらに関する試験も必要である。

[具体的データ]

図1図2
図3


[その他]
研究課題: ミカンキジラミの生態特性の解明と防除技術の開発
予算区分: 国際プロ[HLB防除]
研究期間: 2005年度(2004〜2008年度)
研究担当者: 市瀬克也・Le Quoc Dien・Do Hong Tuan(ベトナム南部果樹研究所)
発表論文等:
  1. 市瀬克也・加納健 (2006) ベトナムメコンデルタ地域におけるカンキツグリーニング病とその管理法、植物防疫 60(7):302-307

前のページ

次のページ