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国際農林水産業研究成果情報 第14号 【2006(平成18年度)】

ブラジルにおけるダイズさび病菌の宿主(PDF225KB)

〔 要約 〕 アジア型ダイズさび病菌(Phakopsora pachyrhizi)にとって最も感受性の高い宿主はダイズツルマメクズで、次いで、Neonotonia wightiiインゲンヒメノアズキライマメが高い。これらのうち、ブラジルでは野良生えのダイズや冬季潅漑栽培ダイズ、クズおよびN. wightiiが本病の伝染源として注意を要する。
所属 国際農林水産業研究センター・生物資源領域 連絡先 029 (838) 6305
専門
作物病害
対象
だいず
分類
研究

[背景・ねらい]

南アメリカではPhakopsora pachyrhiziによるアジア型のダイズさび病の被害が拡大している。本病はアジアでは古くから発生している病害であるが、南米では2001年にパラグアイで最初に発生したのに続き、2004年までにブラジル、アルゼンチン、ボリビアなどの南米のダイズ主要栽培地帯全域に広がった。中南米ではPhakopsora meibomiaeによるさび病の発生が以前から知られていたが、新たに発生したアジア型のさび病は早期落葉を引き起こし、20%〜80%の減収をもたらすなど、従来のさび病より被害が極めて大きい。P. pachyrhiziは宿主がないと生存できない絶対寄生菌なので、ダイズが栽培されない冬季間に宿主を除去することにより、さび病の発生を抑制することが期待できる。現在までに宿主として100種類以上が報告されているが、それらの感受性程度に関する報告は少ない。このため、ブラジルやパラグアイで利用されているマメ科作物、牧草、緑肥作物、雑草等のアジア型ダイズさび病菌に関する感受性を調査し、ダイズ栽培にとって注意を要する伝染源を明らかにする。


[成果の概要・特徴]
  1. ダイズさび病を維持している温室で31種のマメ科植物を栽培して感染の程度を調査したところ、19種で病斑および夏胞子堆の形成がみられる(表1)。病斑、夏胞子堆および夏胞子の形成は、ダイズ(Glycine max)、ツルマメ(Glycine soja)、クズ(Pueraria lobata)上では極めて多く、Neonotonia wightii、インゲン(Phaseolus vulgaris)、ヒメノアズキ(Rhynchosia minima)、ライマメ(Phaseolus lunatus)では中程度である(表1、図1)。キマメ(Cajanus cajan)では発病初期にダイズ以上に多数の病斑が形成されるが、夏胞子堆および夏胞子形成率は低く、また落葉が早いので伝染源としての可能性は低い(図1)。
  2. 病斑を形成しなかった種には、牧草ではArachis pinto Desmosium ovalifolium Leucaena leucocephalaミヤコグサ(Lotus corniculatus)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)、 Stylosanthes guianensis、ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)、トックリツメクサ(Trifolium vesiculosum)、緑肥ではタチナタマメ(Canavalia ensiformis)、 Crotalaria spectabili, ハッショウマメ(Mucuna pruriens)、雑草ではエビスグサ(Senna obtusifolia)がある。
  3. ブラジル南部、パラグアイ南部では、ダイズ、クズ、インゲン、N. wightii、ヒメノアズキの他、Desmodium tortuosum に夏胞子堆が形成される。
  4. 冬季間でも、ブラジル中西部では潅漑栽培のダイズに、ブラジル南部やパラグアイ南部では野良生えのダイズにさび病の感染が認められる。クズはダイズの生育初期には大きな群落を形成し、病斑が多数形成される。従って、これらのダイズやクズは伝染源として注意を要する。また、牧草として導入され、雑草化しているN. wightiiもブラジル南部でダイズの生育初期に夏胞子堆の形成が認められ、伝染源になりうる。
  5. ブラジル南部やパラグアイではダイズ、クズおよびN. wightiiに冬胞子が形成される。

[成果の活用面・留意点]
  1. ダイズ圃場の周辺圃場における栽培作物・牧草の選定、および除去すべきマメ科植物の種類を特定するために活用できる。
  2. 本試験で用いた以外にも感受性の高い植物種、あるいは品種系統が存在する可能性がある。

[具体的データ]

表1 マメ科植物におけるダイズさび病菌の病斑形成、夏胞子堆形成および夏胞子形成

表1 マメ科植物におけるダイズさび病菌の病斑形成、夏胞子堆形成および夏胞子形成


図1 各種マメ科植物のダイズさび病菌に対する感受性(ダイズさび病の発生している温室内に14日間または28日間曝露、縦棒は標準偏差)

図1 各種マメ科植物のダイズさび病菌に対する感受性(ダイズさび病の発生
している温室内に14日間または28日間曝露、縦棒は標準偏差)


[その他]
研究課題: 南米における大豆さび病に安定的な抵抗性の同定
中課題番号: A-1) - (3)
予算区分 交付金 〔大豆さび病〕
研究期間: 2006年度(2006〜2010年度)
研究担当者: 加藤雅康・Jose Tadashi Yorinori (ブラジル農牧研究公社大豆研究センター)・Wilfrido Morel Paiva (パラグアイ地域農業研究センター)・山岡裕一(筑波大学大学院)
発表論文等:  
  1. Kato, M., Morel Paiva, W., Yamaoka,Y. and Yorinori, J.T. (2005). Situation of soybean rust (Phakopsora pachyrhizi) during winter of 2004 in southern Brazil and Paraguay. 13th Congreso Latinoamericano de Fitopatologia - 3th Taller de la Asociacion Argentina de Fitopatologos. Libro de Resumenes. 360.
  2. Kato, M. and Yorinori, J.T. (2005). Variation in productivity of lesions, uredinia and urediniospores of Phakopsora pachyrhizi among leguminous plants. Proceedings of the National Soybean Rust Symposium.

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