TOP >アーカイブス(刊行物:国際農林水産業研究成果情報第14号)

国際農林水産業研究成果情報 第14号 【2006(平成18年度)】

タイ東北部における在来種去勢牛の維持エネルギー要求量(PDF185KB)

〔 要約 〕 タイ東北部における在来種去勢牛維持に要する代謝エネルギー要求量は, 477 kJ/kgBW0.75である。これらは日本飼養標準における黒毛和種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量の470 kJ/kgBW0.75とほぼ同様の値である。
所属 国際農林水産業研究センター・畜産草地領域 連絡先 029 (838) 6365
専門
動物栄養
対象
肉用牛
分類
研究

[背景・ねらい]

牛の飼料給与量に関しては,タイでは現在,寒地に適応した牛のエネルギー収支データによって作成された欧米の飼養標準が利用されている。しかし,東南アジア等の熱帯・亜熱帯地域では,熱帯の厳しい自然環境に適応し選抜された地域在来牛やゼブ牛が主体であり,また飼料も熱帯・亜熱帯地域特有のものであり,実際にこれらを組み合わせて家畜のエネルギー収支を継続して測定したデータは殆ど無い。そこで,頭部をフードで覆うことによって呼吸量を24時間継続して測定できる装置を用い,本地域で利用可能な飼料を種々組み合わせて在来種去勢牛に給与し,エネルギーの出納量を測定することによって,維持に要する代謝エネルギー要求量を算出する。


[成果の概要・特徴]
  1. 在来種去勢牛4頭による、延べ16例のエネルギー出納成績をもとに、維持に要する代謝エネルギー量を回帰分析により求めた。供試牛の平均月齢は36ヵ月,平均体重は185kg(175〜210)kgで、表1に示した給与 飼料を体重比で1.5%となるように1日2回に分けて給与した。飼料中の蛋白含量は7.1〜7.8%となるように調製した。
  2. 在来種去勢牛の飼料の給与量として,体重の1.5%に相当する乾物重を設定すると,飼料中の養分含量によってエネルギーの出納が負となる(表1)。平均気温は28.3度(最低〜最高:15.2〜40.0度)および湿度は54.6%(最低〜最高:10.0〜95.0%)であった。
  3. 来種去勢牛における全ての代謝エネルギー摂取量およびエネルギー蓄積量データ(図1)から求めた,維持に要する代謝エネルギー要求量は, 476.6 kJ/kgBW0.75である。これらは日本飼養標準における,黒毛和種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量の470.3 kJ/kgBW0.75とほぼ同様の値である(BW: 体重kg)。またアメリカのNRC標準に示されている,欧米の種々の牛の維持に要する代謝エネルギー要求量である,401.7から543.9 kJ/kgBW0.75のほぼ中間の値といえる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 在来種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー量として飼料給与量の計算に応用でき,飼養標準作成の基礎数値として活用できる。
  2. 飼料資源を有効活用し飼料効率向上を図るためには,給与する飼料の栄養価に関する情報を入手し,本成果とあわせて肉牛への適切な量の栄養分を供給する必要がある。
  3. 在来種には地域や血統による多様性が大きいため,本要求量を用いて精密に飼料設計した場合でも,体重の変動等を注意深く観察する必要がある。

[具体的データ]

表1 飼料配合割合と在来種去勢牛のエネルギー出納試験結果

表1 飼料配合割合と在来種去勢牛のエネルギー出納試験結果

 

図1 在来種去勢牛における代謝エネルギー摂取量とエネルギー蓄積量との関係

図1 在来種去勢牛における代謝エネルギー摂取量とエネルギー蓄積量との関係


[その他]
研究課題: インドシナ半島における肉用牛飼養標準ならびに飼料資源データベースの構築
中課題番号: A-2)-(3)
予算区分 交付金〔熱帯畜産〕
研究期間: 2006年度(2006〜2011年度)
研究担当者: 西田武弘・Peerapot Nitipot・Anan Chaokaur・Kritapon Sommart(コンケン大学農学部)・Ittiphon Phaowphaisal・Pimpaporn Pholsen・Rumphrai Narmsilee・Somchit Indramanee(コンケン家畜栄養研究開発センター)
発表論文等:
なし
 

前のページ

次のページ