TOP >アーカイブス(刊行物:国際農林水産業研究成果情報第14号)

国際農林水産業研究成果情報 第14号 【2006(平成18年度)】

マメ科カバークロップ作付け後の不耕起栽培による土壌・水管理技術(PDF282KB)

〔 要約 〕 マメ科のムクナヘアリーベッチカバークロップとして作付けし、マルチとして利用するソルガムやトウモロコシの不耕起栽培は、降雨の表面流出土壌侵食の低減、雑草発生の抑制など、土壌・水管理に有効であり、増収効果の利点も有する。
所属 国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点 連絡先 0980 (82) 2314
専門
土壌
対象
作物一般
分類
研究

[背景・ねらい]

土壌肥沃度の低い熱帯・亜熱帯開発途上地域の低肥料投入型農業では、土壌侵食は土壌肥沃度を一層低下させる深刻な問題である。また、降水量の不足しがちな地域での作物栽培では、降雨の表面流出が土壌中への浸透を減らし、水不足に拍車をかけている場合が多い。こうした降雨の表面流出、土壌侵食および土壌の低肥沃度化などの問題を解決するために、マメ科のムクナ(Mucuna pruriens) やヘアリーベッチ(Vicia villosa) をカバークロップとして作付け、その後マルチとして利用する不耕起栽培の効果を総合的に評価する。


[成果の概要・特徴]
  1. ムクナ作付け後に不耕起処理をした場合、土壌侵食量は自然休閑後の耕起栽培(慣行法)の4〜5%に減少する(傾斜5度の場合)。一方、ムクナ作付け後の耕起処理では、土壌侵食量は慣行法の約35%に減少するが、その低減効果は不耕起処理より低い(図1)。
  2. ムクナ作付け後の不耕起処理は、自然休閑後やムクナ作付け後の耕起処理より、降雨の表面流出を抑制する。表面流出の低下に相当する水量は下方浸透として排水される(表1)。
  3. ムクナ、ヘアリーベッチ作付け後の不耕起処理では、その残さのマルチ効果のために、雑草発生量が少ない(図2)。従来、低投入型農業における不耕起栽培導入の制約要因として、除草剤の必要性があげられてきたが、カバークロップと不耕起栽培を組み合わせることにより、除草剤を利用しなくともソルガム、トウモロコシ等の主要作物の栽培が可能である。
  4. 耕起の有無にかかわらず、カバークロップ作付け後では、標準窒素施肥量の半量でも、自然休閑後の標準施肥より増収効果がみられ、無施肥でも同等以上の収量が得られる(図3、図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ムクナ作付けの場合には作物を刈り払ってから後作を開始するのに対し、ヘアリーベッチは、亜熱帯地域の春先の高温(30°C以上)で自然枯死するこので、刈り払うことなく後作の栽培が可能である。
  2. 降水量の少ない地域では、表面流出水の低減が土壌貯留水の増大をもたらし、水分不足を緩和することが期待される。
  3. 異なる土壌タイプの場合やその他のマメ科作物を利用する作付け体系についてはさらに検討を要する。

[具体的データ]

処理の組み合わせ

処理の組み合わせ

図1 異なる処理が土壌侵食に及ぼす影響 (2004)

図1 異なる処理が土壌侵食に及ぼす影響 (2004)
前作期間(3〜5月)、主作物栽培(6〜8月)。総降水量は1288mm。

表1 異なる処理が降雨の水収支に及ぼす影響(2004)

表1 異なる処理が降雨の水収支に及ぼす影響(2004)

図2 異なる処理が主作物栽培時の雑草発生量に及ぼす影響。それぞれの年次で異なるアルファベットは5%水準で有意差があることを示す。2004年は播種後40日目、2005年は播種後42日目に調査。

図2 異なる処理が主作物栽培時の雑草発生量に及ぼす影響。それぞれの年次で異なるアルファベットは5%水準で有意差があることを示す。2004年は播種後40日目、2005年は播種後42日目に調査。

図3 前作処理がトウモロコシの生育に大きく影響する (2005)

図3 前作処理がトウモロコシの生育に大きく影響する (2005)

図4 異なる処理が作物収量に及ぼす影響。

図4 異なる処理が作物収量に及ぼす影響。

それぞれの年次で異なるアルファベットは5%水準で有意差があることを示す。


[その他]
研究課題: 傾斜枠・傾斜畑を用いた侵食土量と施肥養分動態の解明
中課題番号:  
予算区分 交付金
研究期間: 2005年度 (2003〜2005年度)
研究担当者: 南雲不二男・干川明(JIRCAS)・Roland Issaka(ガーナ土壌研究所)・Robert Zougmore (ブルキナファソ農業環境研究所)
発表論文等:
  1. Zougmore,R., Nagumo,F. and Hoshikawa,A. (2006): Nutrient uptakes and maize productivity as affected by tillage system and cover crops in a subtropical climate at Ishigaki, Okinawa, Japan. Soil Science and Plant Nutrition. 52: 509-518
  2. Nagumo,F., Issaka,R.N. and Hoshikawa,A. (2006): Effects of tillage practices combined with mucuna fallow on soil erosion and water dynamics on Ishigaki Island, Japan. Soil Science and Plant Nutrition. 52: 676-685 7

前のページ

次のページ