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国際農林水産業研究成果情報 第16号 【2008(平成20年度)】

アミラーゼ、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ表層提示酵母の開発とキャッサバパルプからの直接エタノール生産(PDF184KB)

〔 要約 〕2種類のアミラーゼ、2種類のセルラーゼ及びβ-グルコシダーゼを細胞表層に提示したアーミング酵母を開発した。この形質転換酵母は、デンプンとセルロースを主成分とするキャッサバパルプから直接エタノールを生産することが出来る。
所属 国際農林水産業研究センター・利用加工領域 連絡先 029 (838) 6623
専門
バイテク
対象
バイオエタノール
分類
研究

[背景・ねらい]

キャッサバは東南アジアの代表的な農作物で、主にデンプンとして食品等に利用されている。デンプン製造工程では大量の搾りかす(キャッサバパルプ)が排出されるが、一部が飼料とされるものの有効な利用法はない。そこでキャッサバパルプからの燃料用エタノール生産のための技術開発を行う。キャッサバパルプの構成成分はデンプン(乾燥重量比、約60%)とセルロース系繊維(同、約30%)であることから、これらの成分の分解に必要な2種類のアミラーゼ、2種類のセルラーゼ及びβ-グルコシダーゼを同時に表層提示したアーミング酵母を開発し、キャッサバパルプからの直接エタノール生産を試みる。


[成果の概要・特徴]
  1. アーミング酵母技術(細胞表層蛋白質α-アグルチニン遺伝子を活用して異種蛋白質を酵母の表層に発現させる技術)を用いて、エタノール発酵酵母を宿主として、2種類のアミラーゼ、2種類のセルラーゼ、β-グルコシダーゼの5つの酵素を同時に細胞表層に提示したアーミング酵母を作成した(図1)。
  2. このアーミング酵母は、5種類の酵素を生産し(表1)、可溶性デンプン、ボールミル処理セルロース、β-グルカンから直接エタノールを生産できる。
  3. キャッサバパルプを150°Cで1時間の条件で水熱処理し、本アーミング酵母を用いてエタノール発酵を行うと、キャッサバパルプ中のデンプン及びセルロース繊維が分解され、5%のキャッサバパルプから10g/Lのエタノールが生産される(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 今回開発したアーミング酵母はデンプンとセルロースの分解に必要な5種の酵素を生産し、外部からの酵素添加が不要であることから、キャッサバパルプのようなデンプンとセルロースが混在するバイオマスからのエタノール生産の低コスト化に寄与する可能性がある。
  2. 本アーミング酵母は凝集性を有しているため、発酵後の酵母の回収・再利用が容易である。一方、セルロースなどの不溶性基質に使用する場合には、酵母がフロックを形成し細胞表層に提示された酵素が充分に作用しないことがある。

[具体的データ]

図1.セルラーゼ、アミラーゼ及び、βグルコシダーゼを
細胞表層提示したアーミング酵母

図1.セルラーゼ、アミラーゼ及び、βグルコシダーゼを 細胞表層提示したアーミング酵母

図2.5%キャッサバパルプ培地におけるエタノール生産

図2.5%キャッサバパルプ培地におけるエタノール生産

表1.5つの酵素を細胞表層提示したアーミング酵母の酵素活性

表1.5つの酵素を細胞表層提示したアーミング酵母の酵素活性


[その他]
研究課題: 東南アジアバイオマス資源の利活用技術開発
中課題番号: A-1)-(4)
予算区分: 交付金〔東南アジア・バイオマス〕
研究期間:
2008年度(2006〜2010年度)
研究担当者:
村田善則・Waraporn Apiwatanapiwat(カセサート大学農業・農業工学生産改良研究所)・小杉昭彦・山田亮祐(神戸大学工学部)・近藤昭彦(神戸大学工学部)・荒井隆益・森隆
発表論文等:
  1. 村田善則・Waraporn Apiwatanapiwat・小杉昭彦・山田亮祐・近藤昭彦・荒井隆益・森隆 (2008) アミラーゼ、セルラーゼ、β-グルコシダーゼ表層提示酵母によるキャッサバパルプからのエタノール生産.日本生物工学会,平成20年8月,仙台.
  2. Murata, Y., Apiwatanapiwat, W., Kosugi, A., Yamada, R., Kondo, A., Arai, T. and Mori, Y. (2008) Ethanol production from cassava pulp using surface-engineered yeasts codisplaying amylolytic and cellulolytic enzymes. 第5回バイオマスアジアワークショップ.
  3. Kosugi, A., Kondo, A., Ueda, M., Murata, Y., Vaithanomsat, P., Thanapase, W., Arai, T. and Mori Y. (2009) Production of ethanol from cassava pulp via fermentation with a surface-engineered yeast strain displaying glucoamylase. Renewable Energy. (in press).

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