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国際農林水産業研究成果情報 第17号 【2009(平成21年度)】

食品中の血糖値上昇抑制物質1-デオキシノジリマイシンの高感度定量法(PDF68KB)

〔 要約 〕東アジア・東南アジアにおける伝統食品等に含まれ、食事後の血糖値の上昇を抑制する1-デオキシノジリマイシンは、高速陰イオン交換クロマトグラフィー・パルス電流検出法(HPAEC-PAD)を用いて、従来法より簡便に定量することができる。
キーワード 伝統食品、1-デオキシノジリマイシン、HPAEC-PAD
所属 国際農林水産業研究センター 利用加工領域 分類
研究B

[背景・ねらい]

1-デオキシノジリマイシン(1-deoxynojirimycin; DNJ)は、消化管において糖質分解酵素であるグルコシダーゼに対する阻害剤として働き、食事後の血糖値の上昇を抑制する。DNJは桑葉や中国伝統食品である発酵食品等にも含まれ、初期糖尿病の抑制に有効と推定されている。桑葉を用いた食品など、DNJを含む食品は東アジア・東南アジアにおいて伝統的に生産・消費されており、そのDNJ含量を明記することは、高付加価値化を図るうえで重要である。しかし、従来法の複雑なクロマトグラムからDNJピークの確認は困難である。そのため、より簡便な手法が求められている。


[成果の内容・特徴]

  1. DNJは、アルカリ性移動相において、高交換容量の陰イオン交換カラムにより、塩基性官能基を持つ弱酸として、他の糖質と効率よく分離される。また、パルス電流検出により、糖質のみを選択的かつ高感度で検出するので、共存する糖質が問題となる加工食品での分析においても、DNJが分離でき、妨害ピークが少ない(図1)。また、分析のための試料処理が水抽出のみで簡便である。
  2. DNJ量5 ngから検出・定量が可能で高感度であり、高濃度まで優れた定量性を示す(図2)。
  3. 原理的に他糖質類の共存の影響が少ないことから、桑葉に含まれるDNJだけではなく、他糖質類の共存が問題となる、伝統食品中のDNJ量を測定することができる。溶出されたDNJは質量分析によって確認することもできる。
  4. 中国、タイ及び日本の市販食品のDNJ量を本手法により測定したところ、表1の結果が得られた。

[成果の活用面・留意点]
  1. 試料に標準品を添加した試料を分析することで、DNJの溶出位置を確認できる。
  2. DNJは加熱処理に対して安定である。このため、DNJを含有する食品を製造する際、加熱がその機能性に影響しないことが示唆される。
  3. 発酵食品中に含まれるDNJ含有量も、分析が十分可能であると推定される。


[具体的データ]

図1 DNJ標品・タイ産桑茶ティーバックの
HPAEC-PADクロマトグラム


図2 DNJの検量線

表1 市販桑葉加工品における1-デオキシノジリマイシン含量の測定結果


[その他]
研究課題: アジア農産物の高付加価値化
中課題番号: A-1)-(5)
予算区分: 交付金〔高付加価値化〕
研究期間:
2009年度(2006〜2010年度)
研究担当者:
吉橋忠・Do Thi Thu Huong・Patcharee Tungtrakul(カセサート大学食品研究所)・Sumitra Boonbumrung(カセサート大学食品研究所)・八巻幸二(食品総合研究所)
発表論文等:
  1. Yoshihashi et al. (2010) J. Food Sci., DOI: 10.1111/j.1750-3841.2010.01528.x

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