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国際農林水産業研究成果情報 第18号 【2010(平成22年度)】

タイ在来野菜ゆで汁により抗酸化性を付与した加工米飯(PDF140KB)

〔 要約 〕バジル等の野菜・薬草等の熱水抽出物を用いて炊飯することにより、米飯に抗酸化性や風味・色などを付与することができる。抗酸化性を付与した加工米飯をレトルト包装した製品や、様々な風味の米飯フライ加工品を製造することができる。
キーワード 抗酸化性、加工米飯、タイ野菜、レトルト包装米飯、米飯フライ加工品
所属 国際農林水産業研究センター 利用加工領域 分類 技術A

[背景・ねらい]

産業利用があまり進んでいない東南アジア在来野菜の生理機能特性や加工特性を明らかにして、機能性食品等の原料として利用することにより、在来農産物の高付加価値化を目指したものである。タイ・カセサート大学と共同で、抗酸化性(食品中や生体内でおこる有害な酸化反応を防ぐ働き)に富む在来野菜を用いて、流通・保存に適した食べやすい機能性食品を開発する。


[成果の内容・特徴]
  1. タイ・ラオスでは、ゆでた野菜をナムプリック(調味料ペースト類)とともに食べるのが好まれるが、この際、一般的にゆで汁は捨てられている。一方、野菜をゆでることにより抗酸化成分の一部が煮汁中に漏出する。煮汁の抗酸化性は再度加熱しても失われない。従って、野菜のゆで汁を用いて炊飯することにより、抗酸化性や野菜の風味を米飯に付与できる。
  2. ゆで汁の調製には、抗酸化性を有し、かつ、好ましくない風味や強い苦み・渋みを持たない野菜を材料として選ぶ。例としては、パックブン(Ipomoea aquatica, 在来型のアサガオナ)、カプラオ(Ocimum sanctum, ホーリーバジル)、マクアプロ(Solanum xanthocarpum, 在来型のナス)などである。野菜は、下準備をした後に適当な大きさに切り、数倍容の水で柔らかくなるまでゆでる。冷却後、ろ過により熱水抽出液を得る。ゆでた野菜は副食として利用できる。
  3. うるち米、もち米、または混合米を上記抽出液とともに、鍋または炊飯器により炊飯することにより抗酸化性付加米飯を製造できる(図1、2)。また、この抗酸化性付加米飯を用いてライスナゲットなどの加工品を製造できる(図3、4)。
  4. バンコクの一般消費者200名以上を対象に試食およびアンケート調査を行った結果、嗜好的に概ね好評であり、ほとんどの回答者が購入を希望した。ベンチスケールでの製造コスト(人件費含む)は、レトルト包装米飯が1パック(135 g)当たり約8バーツ(約22円)、ライスナゲットが1個(30g)当たり約4バーツ(約11円)であり、現地の経済水準から見ても、十分に市販可能と判断される。

[成果の活用面・留意点]
  1. 米に機能性等の付加価値を付与するタイの先行特許としては、様々な薬草の抽出物または粉末により表面をコートした米がある。
  2. レトルト米飯は室温で、ライスナゲットは-20°Cで6ヶ月以上、抗酸化性を保った状態で保存可能である。

[具体的データ]

図1 抗酸化性レトルト米飯 3種類の在来野菜(アサガオナ、ホーリーバジル、在来のナス)を使った製品を開発した。

 

図3 抗酸化性ライスナゲット 冷凍保存可能。レンジ加熱、フライ調理してから食べる。3種類の製品(グリーンカレー風味、豚角煮風味、モチ米を使ったタロイモとココナツ風味)を開発した。

図2 野菜熱水抽出物による米飯への抗酸化性の付与 米飯Aはアサガオナ、米飯Bはホーリーバジル、米飯Cは在来のナスから製造したもの。抗酸化性(活性酸素吸収能)はORAC標準法により測定し、1袋(135 g)当たりμモルTrolox当量で表した。Troloxは標準抗酸化物質。総フェノール含量は、Folinのフェノールの試薬を用いて測定し、1袋(135 g)当たりmg没食子酸量で表現した。没食子酸は標準フェノール化合物。

 

図4 ライスナゲット製品の抗酸化性 ナゲットAはグリーンカレー風味、ナゲットBは豚角煮風味、ナゲットCはモチ米を使ったタロイモとココナツ風味の製品。抗酸化性と総フェノール含量は図2と同様に測定した。各数値は、製品1個(30 g)当たりのもの。

[その他]
研究課題: アジア農産物の高付加価値化
中課題番号: A-1)-(5)
予算区分: 運営費交付金〔高付加価値化〕
研究期間:
2009〜2010年度
研究担当者:
中原和彦・G. Trakoontivakorn・P. Tangkanakul(カセサート大学食品研究所)
発表論文等:
  1. Trakoontivakorn et al. (2010) Thai petty patent application No.1003001338.
  2. Trakoontivakorn et al. (2011) JARQ 45(2):211 – 218.

 

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