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国際農林水産業研究成果情報 第18号 【2010(平成22年度)】

Bacillus amyloliquefaciensを用いたα-グルコシダーゼ阻害活性を有する機能性食品素材の製造方法(PDF109KB)

〔 要約 〕Bacillus amyloliquefaciensを用いることにより、α-グルコシダーゼ阻害活性を有する納豆様の機能性食品素材の製造が可能である。
キーワード Bacillus amyloliquefaciens、α-グルコシダーゼ阻害、発酵食品
所属 国際農林水産業研究センター 利用加工領域 分類
技術B

[背景・ねらい]

α-グルコシダーゼは小腸に存在する酵素であり、デンプン等の糖質をブドウ糖等の単糖類に分解する過程で働く消化酵素である。したがって、α-グルコシダーゼの働きを抑えることによって、食後の血糖の急激な上昇を抑えることができる。途上国等においても、健康への関心の高まりとともに、食品や農作物の健康機能性に対する要望が強まってきていることから、本研究では、東アジア・東南アジアで食経験のある菌種を対象にα-グルコシダーゼ阻害成分を産生する微生物についてスクリーニングを行い、タイ発酵食品トゥア・ナオで単離されるBacillus amyloliquefaciensを見出した。そこで、B. amyloliquefaciensを用いたα-グルコシダーゼ阻害活性を有する納豆様の機能性食品素材の製造方法を開発する。


[成果の内容・特徴]
  1. 独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門から入手したB. amyloliquefaciens NBRC3022株、NBRC14141株、及びNBRC15535株を、LB液体培地、LB寒天培地、米、小麦、トウモロコシ、大豆(図1)で培養あるいは発酵させる。得られた培養液または発酵物抽出液をa-グルコシダーゼ酵素反応液に加えると、いずれの場合も活性阻害が生じる(図2)。また、対照として市販納豆菌、及び実験室菌株であるBacillussubtilis NBRC13719株を用いた場合、活性阻害はほとんど見られない(図2)。
  2. 米等の発酵物の製造は以下の通りに行う。B. amyloliquefaciensをLB液体培地で30°C、1晩培養する。米等を水で煮たのち、室温まで冷却し、B. amyloliquefaciens培養液と混合する。30°Cで1〜2日間発酵したのち、4°Cで1晩熟成する。
  3. α-グルコシダーゼ活性測定は以下の通りに行う。米等の発酵物1 gに蒸留水1 mlを加え、撹拌したのち遠心分離し上澄みを得る。これを酵素反応液{20 mMリン酸ナトリウム(pH 6.7)、1 mM 4-ニトロフェニルα-D-グルコピラノシド、6.25 mg/mlラット小腸アセトン粉末(シグマ社製、α-グルコシダーゼ活性力価:0.88 U/mg)、いずれも終濃度}に加え、30°C、1時間インキュベートし、405 nmの吸光度を測定する。

[成果の活用面・留意点]
  • B. amyloliquefaciensを用いて製造したα-グルコシダーゼ阻害活性を有する食品素材は、血糖値上昇抑制効果のある栄養食品として利用可能である。

[具体的データ]


図1 種々のB. amyloliquefaciensにより製造した大豆発酵物



図2 種々の発酵物抽出液及び培養物によるα-グルコシダーゼ活性阻害

縦軸はα-グルコシダーゼ相対活性 (%)。阻害剤を含まないときのα-グルコシダーゼ活性値を100%とした。それぞれの活性値は、培養液または発酵物抽出液を25%(v/v)になるように酵素反応液に加えたときの値。これは発酵物0.25 gを1 mlの酵素反応液に加えた場合に相当する。比較として、強いα-グルコシダーゼ阻害活性をもつボグリボース(5, 10, 20 μM)の値を示した。


[その他]
研究課題: アジア農産物の高付加価値化
中課題番号: A-1)-(5)
予算区分: 運営費交付金[高付加価値化]
研究期間:
2006〜2010年度
研究担当者:
韮澤 悟・吉橋 忠・李 里特(中国農業大学)・森 隆
発表論文等:
  1. 韮澤 悟ら、特許出願2010-206162

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