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国際農林水産業研究成果情報 第18号 【2010(平成22年度)】

植林CDMを活用した農村開発を体系的に取りまとめたマニュアル集(PDF25KB)

〔 要約 〕本マニュアル集は、植林によるクリーン開発メカニズム(以下「植林CDM」)を活用して、所得向上及び環境改善に資する農村開発を実施するためものであり、土壌侵食及び地力劣化の進む南米の低所得地域において活用できる。
キーワード 意識改革、土壌保全、地力回復、植林CDM、アグロフォレストリー
所属 国際農林水産業研究センター 農村開発調査領域 分類
行政B

[背景・ねらい]

土壌侵食及び地力劣化の進む低所得農村地域では、資源回復と生活改善のための方策として、等高線畦畔の設置、緑肥導入など低投入の営農技術の改善による保全対策の実施と荒廃地における植林又はアグロフォレストリーの導入が効果的である。植林CDMは、樹木に蓄積されたCO2をクレジット化により換金可能とし、植林地からの追加収入を獲得するシステムであり、植林可能な低所得地域に適しているが、要件が厳しく事業化が難しい。南米には、土壌侵食及び地力劣化の進む低所得農村地域が広く分布しているが、これらの地域を対象とする植林CDMを活用した農村開発に係る体系的なマニュアルは存在しない。このため、パラグアイの低所得農村地域において国立アスンシオン大学、農牧省等と共同で実施した実証調査結果に基づき、土壌保全、地力回復、植林CDMを含む農村開発プロジェクトの形成及び実施方法を具体的に取りまとめる。


[成果の内容・特徴]
  1. 本マニュアル集は、植林CDMを活用した農村開発のプロセスと主要事項を記載したガイドライン1冊と、土壌保全及び地力回復をベースとする農村開発マニュアル9冊、植林CDM事業を形成・実施するための小規模植林CDMマニュアル8冊及び個別技術を農家向けに分かりやすく説明した農家手引書13冊から構成されている(図1)。
  2. 植林CDMを活用した農村開発のプロセスを表1に示す。このプロセスの特徴は、農家の土壌保全に対する意識改革をプロジェクト初期に実施することにより、農家のモチベーションを確保し、農家の自己責任による土壌保全対策、営農改善、アグロフォレストリー及び植林への取り組みを強化する点である。自立意識の高い農家は、改良技術を持続させることにより、農地及び植林地を適切に管理し、植林地のCO2蓄積量を増加させ、炭素クレジット(CER)による追加収入を得、資源回復と生活改善を実現することができる。
  3. 本マニュアル集は、南米の低所得農村地域において、低投入の水土保全、アグロフォレストリー技術等の普及、植林CDMの活用という、世界で前例のない農村開発モデルの実証を通じ効果を確認したもので、実用性が高い。
  4. 本マニュアル集は、スペイン語と、一部日本語で作成されている。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本マニュアル集は、類似した条件下にある南米の低所得農村の開発に活用できる。
  2. 本マニュアル集は政府機関、援助機関、NGO等のプロジェクト推進者の指針となる。
  3. 本マニュアル集は未組織の小規模農家が多数居住する低所得農村を対象としたもので、通常であれば5年程度のプロジェクト期間が必要であるが、農協や農民グループがすでに存在する地域では、プロセスを大幅に簡略化することが可能である。

[具体的データ]


図1 植林CDMを活用した農村開発マニュアル集の構成

表1 植林CDMを活用した農村開発のプロセス


[その他]
研究課題: クリーン開発メカニズムの仕組みを活用した農村開発手法の開発
中課題番号: A-3)-(3)
予算区分: 運営費交付金[温暖化防止]
研究期間: 2008〜2010年度
研究担当者: 松原英治・廣内慎司・渡辺 守・池浦 弘
発表論文等:
  1. JIRCAS Working Report No.67 (2010)

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