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「食料安定生産」 平成23年度実績報告

研究プログラム B : 熱帯等の不安定環境下における農作物等の生産性向上・安定生産技術の開発
(食料安定生産プログラム)

(プログラムの概要)

概要図

 

本プログラムでは、イネ、ダイズ・コムギ、熱帯畑作物等、熱帯・亜熱帯の主要農作物の生産性向上と安定生産を実現するための技術開発を行い、開発途上地域での食料安定供給と農家経済の安定を実現し、栄養不良・飢餓人口の削減、我が国及び世界の食料安全保障に貢献する。

イネにおいては、「アフリカ稲作振興のための共同体」(CARD)の目標であるアフリカにおけるコメ増産計画の実現のため、アジアでの稲作の研究経験や成果を生かし、CARDの「栽培環境別アプローチ」における、栽培環境に応じた適正品種の選定・開発、天水低湿地での稲作開発モデルの確立のための基盤整備手法開発、低利用地での栽培技術の改善を通じた栽培面積の拡大、に貢献する研究開発を、本プログラムの旗艦プロジェクトとして実施する(研究実施国等(以下同様):ガーナ、AfricaRice)。また、アジアにおいては、第2期中期計画で築いたいもち病研究ネットワーク等を活用した低投入・環境調和型の育種素材開発を加速し、優れた素材の評価およびアフリカへの適用に努める(アジア各国、IRRI)。加えて、開発途上地域向けの耐乾性イネ開発のための分子育種技術を開発する(IRRI、CIAT)。

ダイズにおいては、南米の主要生産阻害要因であるさび病に抵抗性の品種開発(パラグアイ、アルゼンチン、ブラジル)を行うとともに、異なる耐性集積による高度塩害耐性系統を開発する。また、ダイズ・コムギの耐乾性向上のための分子育種技術開発を進める(ブラジル、CIMMYT)。灌漑排水に係る水管理を中心に、コムギ、綿花等を栽培する農地での塩害対策ガイドラインを作成する(ウズベキスタン)。 アフリカの伝統的作物であるヤムイモとササゲについては、ヤムの品種改良に必要とされる科学的情報を集積し多様性解析および育種素材選抜手法の実用化を図るとともに、ササゲの栄養価および品質向上を目的とする育種のための基盤情報を整備し付加価値化を目的とした開発戦略を提言する(IITA)。

サトウキビでは、 低肥沃土で干ばつが問題となる地域での持続的栽培を可能にするため白葉病を抑制し、株出し年限を延長する技術を開発するとともに、サトウキビ近縁遺伝資源を利用してそれらの地域への適応性が高い有用な育種素材を開発する(タイ)。

熱帯果樹については、石垣の研究拠点の立地条件を生かし、保有する果樹遺伝資源の来歴情報・特性評価データの整備および遺伝的多様性の評価を通して、遺伝資源の保存・利用システム構築を図る。

(平成23年度成果の概要)

  • アフリカでの稲作振興に貢献するため、前期中期計画での成果と新規の研究課題を融合した旗艦プロジェクトを立ち上げた。
  • 食料不足が深刻なアフリカで、圃場湛水のための畦畔を備え、均平・代掻・苗移植等の作業で特徴付けられる「アジア型水田稲作」の有効性を実証し、計画から維持管理、施設の補修までの一連の整備技術及び栽培手法を簡易なマニュアルにまとめた。なお、平成22年に作成したマニュアル(素案)を使ってガーナ・アシャンテ州、エチオピア・アムハラ州で既に20カ所以上のアジア型水田圃場整備が行われた[主要普及成果] 。
  • ガーナ白ボルタ流域の氾濫低湿地特有の湛水条件に適応する稲の品種を選抜するために、水中でのイネの葉の光合成活性状況をクロロフィルの光反応から把握する技術を開発し、洪水によって水田が冠水しても枯死しないイネの簡易選抜を可能にした[プレスリリース]。また、アフリカに広く分布する氾濫低湿地に稲作を導入する場合の適地評価に用いるため、マイクロ波衛星画像が捉えた冠水域の地理的分布特性に基づいて湛水可能性を評価する手法を考案した。
  • ガーナの赤道森林帯とサバンナ帯の農家水田圃場において、ブルキナファソ産リン鉱石の直接施用効果を検証する試験を継続し、イネの収量と生長に昨季と同様のポジティブな効果を認め、効果の再現性を確認した。
  • アジアのイネについては、インド型の天水田向きのイネ品種IR49830-7-1-2-2の遺伝的背景を持つ8種のいもち病抵抗性遺伝子を導入した9つの準同質遺伝子系統群を、IRRI との共同研究で育成した。これらは、熱帯地域に適応したインド型マルチライン品種として利用できる。
  • 耐乾性向上のための分子育種技術開発については、CIAT及びIRRIで育成した形質転換イネ及び乾燥処理後のイネから現地の機器を用いてRNAを調製し、JIRCASに輸送して遺伝子発現分析を行うシステムを確立した。CIMMYTで育成したRD29A プロモーター:DREB1A 導入コムギは、温室レベルにおいて乾燥耐性が向上しており、マイクロアレイ解析を行った結果、LEA・デハイドリン遺伝子等の発現レベルが上昇していることが示された。現地隔離圃場での耐性評価試験は順調に進捗している。
  • ダイズについては、さび病抵抗性遺伝子Rpp2Rpp4 及びRpp5 を有する系統及びDNA マーカーを利用した戻し交雑育種を実施しており、パラグアイではAurora を反復親とした戻し交配がBC3F1 まで進んだ。ダイズ耐塩性遺伝子をマップベースクローニング法で単離した。また、準同質遺伝子系統(NIL、3組6系統)を塩害圃場(東北大学)で評価した結果、この遺伝子を有する系統は、持っていない系統よりも極めて高い耐塩性を示した。
  • ウズベキスタンの塩害発生農地の地下水位を2つの実証圃場で計測したところ、地下水位は一つの圃場内でも用水路側から排水路側への勾配が見られた。また、地下水の塩分濃度も水深によって差が見られることが明らかになった。
  • ギニアヤム基準配列用系統、リシーケンス(比較対象)用の系統を選定し、染色体数の確認およびフローサイトメトリーによるゲノムサイズの推定を行った。選定した2系統について、次世代シーケンサーでシーケンスを行い、デノボ・アセンブリにより基準配列を作成した。
  • ササゲ子実の栄養成分および品質に係る要因の遺伝資源多様性の評価に供試する遺伝資源セットをIITA遺伝資源コレクションの背景情報や主要特性等を検討し、選定した。また、子実の基礎栄養成分および加工適性に、品種/系統間差があることを確認した。
  • 前期中期計画にてタイで作出した多用途型高バイオマス量サトウキビ系統評価用の圃場6カ所、白葉病調査用圃場3カ所、株出し処理検討用圃場2カ所を設けた。また、サトウキビとエリアンサスの交配で得られた実生400個体から交雑個体(21個体)を選抜するとともに、コンケン畑作物研究センター(KKFCRC)にて交配を実施し、属間交配種子(F1、BC1)を多数獲得した。

(主要成果・主要実績)

中心的な研究課題 (アフリカ稲作振興プロジェクト) の主要成果

アジアでの稲作の研究経験や成果を生かし、CARDの「栽培環境別アプローチ」に対応・貢献するため、本プログラムの旗艦プロジェクト(アフリカにおけるコメ生産向上のための技術開発)を実施する(図を参照。青色部分がJIRCASプロジェクトで、課題T、U、Vから構成される)。

CARDが示す栽培環境は、「天水低湿地」、「天水畑地」、「灌漑水田」の三つに区分される。「天水低湿地」では稲作開発モデル確立のための基盤整備手法開発や在来資源活用による土壌肥沃度の改善による生産性の向上(課題Uが対応、以下同様)、および低利用である氾濫低湿地での栽培技術の改善を通じた栽培面積の拡大(課題V)、「天水畑地」ではリン酸欠乏耐性や乾燥耐性の品種の選定・開発によるリン肥料利用効率向上と収量増(課題T)、「灌漑水田」 では品種開発により窒素肥料利用効率の向上による収量増(課題T)を目指す。 また、いもち病抵抗性品種の開発はいずれの栽培環境でも、収量ロスの改善による収量増(課題T)が見込まれる。

※関連事項
JIRCAS国際シンポジウム2011開催報告「稲作技術開発の世界的潮流とわが国の研究貢献−GRiSP、CARDへの支援」

 

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  1. 食料不足が深刻なアフリカで、圃場湛水のための畦畔を備え、均平・代掻・苗移植等の作業で特徴付けられる「アジア型水田稲作」の有効性を実証し、計画から維持管理、施設の補修までの一連の整備技術及び栽培手法を簡易なマニュアルにまとめた。なお、平成22年に作成したマニュアル(素案)を使ってガーナ・アシャンテ州、エチオピア・アムハラ州で既に20カ所以上のアジア型水田圃場整備が行われた。[主要普及成果] (農水省稲作推進条件整備調査)
  2. アフリカに広く分布する氾濫低湿地に稲作を導入する場合の適地評価に用いるため、マイクロ波衛星画像が捉えた冠水域の地理的分布特性に基づいて湛水可能性を評価する手法を考案した。
  3. ガーナ白ボルタ流域の氾濫低湿地特有の湛水条件に適応する稲の品種を選抜するために、水中でのイネの葉の光合成活性状況をクロロフィルの光反応から把握する技術を開発し、洪水によって水田が冠水しても枯死しないイネの簡易選抜を可能にした[プレスリリース] [研究成果情報]。さらに、ポロメーターを用いた気孔コンダクタンスの測定により選抜した高光合成品種の中には、現地の奨励品種が多く含まれていた。また、直播栽培において、発芽性、出芽性の点から有望であるイネ系統として、IR06F434およびIR06F463を選定した。
  4. ガーナ白ボルタ流域の氾濫低湿地の圃場試験から、ブタクロール(Butachlor)の標準濃度処理が、主要雑草種に対する防除効果が最も高いことが明らかになった。
  5. ガーナの赤道森林帯とサバンナ帯の農家水田圃場において、ブルキナファソ産リン鉱石の直接施用効果を検証する試験を継続し、イネの収量と生長に昨季と同様のポジティブな効果を認め、効果の再現性を確認した。 (農水省土壌肥沃度改善検討調査)
  6. ガーナでの昨季の農家圃場試験でイネ収穫後の土壌中有効態リン酸含量を調べたところ、Northern州ではリン鉱石施用量にともなって増加したが、Ashanti州では処理区間に差異は認められず、リン鉱石の溶出特性に地域間差があることがわかった。 (農水省土壌肥沃度改善検討調査)
  7. アフリカ向けメガ品種を含む遺伝資源の根の伸長性能力について調査をおこなった結果、アフリカ向けメガ品種であるSahel108およびNERICA-L19に対する根の伸長能力付与による育種的な改良により、生産性の向上を図れる可能性があることがあきらかとなった。[注 NERICA: New Rice for Africa]
  8. アフリカ向けメガ品種についてリン酸欠乏耐性遺伝子Pup1の有無をDNAレベルで調査したところ、NERICA1、NERICA4ではPup1遺伝子が検出されなかったことから、マーカー選抜育種(MAS)を利用したPup1 遺伝子の導入によってリン酸欠乏耐性の向上を図れる可能性があることをあきらかにした。
  9. アフリカイネ(O. glaberrima)とアジア型イネを判別でき、有用遺伝子導入に有効なSNP(単塩基多型)マーカー97種が選抜された。
  10. NERICA1またはNERICA4に、プロモーターと遺伝子の組み合わせ(lip9:DREB1C) またはlip9:OsDREB1B を導入した形質転換系統について、温室内での乾燥耐性評価をおこなったところ、NERICA1にlip9:DREB1Cを導入した系統では生長量が多くなったものが確認された。そのうち1系統は潅水量を制限した場合に生長量が多くなった。(農水省「新農業展開DREB」プロジェクト)

その他のプロジェクトの主要成果

  1. シロイヌナズナの環境ストレス誘導性ジンクフィンガー型転写因子で乾燥や塩ストレス下における植物の生長抑制に関与していると考えられるAZF1とAZF2の遺伝子を過剰発現させた形質転換体は、葉の形態異常を示し、形質転換用ベクターのみを導入した対照と比較して顕著に矮化すること、また、高塩感受性を示すことを明らかにした。[研究成果情報]
  2. マイクロアレイを用いてイネ、ダイズ、シロイヌナズナの低温及び乾燥誘導性遺伝子を同定した。さらに網羅的にプロモーター解析を行い低温及び乾燥誘導性プロモーターに保存されているシス因子を同定した。乾燥環境下における主要転写経路がアブシジン酸応答配列(ABRE)を介していることが明らかになったため、イネとダイズでは、ABRE結合転写因子(AREB)を導入することで、効率的に多くの耐性遺伝子を制御できると推測され、ストレス耐性形質転換植物の開発においてはAREBが有用である、と考えられた。[研究成果情報]
  3. CIMMYTで育成したRD29Aプロモーター:DREB1A導入コムギは、温室レベルにおいて乾燥耐性が向上しており、マイクロアレイ解析を行った結果、LEA (late embryogenesis abundant)・デハイドリン遺伝子等の発現レベルが上昇していることが示された。(農水省「新農業展開DREB」プロジェクト)
  4. CIAT及びIRRIで育成した形質転換イネ及び乾燥処理後のイネから現地の機器を用いてRNAを調製し、JIRCASに輸送して遺伝子発現分析を行うシステムを確立した。(農水省「新農業展開DREB」プロジェクト)
  5. CIMMYT、IRRI、CIATでのコムギ及びイネの乾燥耐性評価は順調に進捗し有望な系統を選定しつつある。(農水省「新農業展開DREB」プロジェクト)
  6. パーティクルガン法によって得られたDREB遺伝子やAREB遺伝子を導入した形質転換ダイズの導入遺伝子の発現解析を行い、導入遺伝子の発現を確認した。(JST/JICA「地球規模」プロジェクト)
  7. ダイズさび病抵抗性遺伝子Rpp2Rpp4 及びRpp5 を有する系統及びDNAマーカーを利用した戻し交雑育種を実施しており、パラグアイではAuroraを反復親とした戻し交配がBC3F1 まで進んだ。また、Rpp124 並びにRpp234 を有する3遺伝子集積系統を獲得した。[研究成果情報]
  8. 戻し交雑世代(BC2F1)の評価・分析により、ダイズ品種LuPiDouの持つさび病感染後の葉の黄化を抑制する性質(黄化抑制)と緑色子葉は分離できることが示された。本品種を交配親とする組換え近交系集団(RIL、F6)78系統を獲得した。
  9. 2010/11年ダイズ作期にアルゼンチン、ブラジル、パラグアイでさび病菌を採集し、それぞれ5、6、6菌系の病原性を解析した結果、地域間で病原性の変異が検出された。
  10. ダイズ耐塩性(NaCl)QTL(量的形質遺伝子座)の位置を第3番染色体上の174kb領域に絞り込み、耐塩性遺伝子をマップベースクローニング法で単離した。また、昨年に続いて、準同質遺伝子系統(NIL、3組6系統)を塩害圃場(東北大学)で評価した結果、この遺伝子を有する系統は、持っていない系統よりも極めて高い耐塩性を示した。
  11. ダイズのアルカリ塩耐性について高精度QTL解析を行い、耐性QTLの位置を第17番染色体上の約2.18cMの領域に特定した。
  12. 乾燥条件下で異なる収量性を示す合成コムギ由来の3系統(SYN-8、SYN-10、SYN-15)における根系発育と吸水、及び乾物生産との関係を明らかにした。乾燥ストレス条件下で、より高い蒸散効率と収穫指数を維持することが、SYN-10の高収量の要因であると考えられた。
  13. 263のソルガム系統を用い、リン酸欠乏圃場でのバイオマス量を指標に耐性評価を行った。その内、西アフリカの70系統ではギニアの在来種が高い耐性を示した。アメリカの193 系統の中には、リン欠条件でのバイオマスの減少が20%程度に留まる非常に高い耐性を示す系統が認められた。(米国コーネル大学委託課題)
  14. JIRCAS熱帯・島嶼研究拠点(石垣)にて開発したエリアンサスの電照処理による出穂遅延技術がタイで保存しているエリアンサスにも効果があることを確認した。
  15. 前期中期計画にてタイで作出したサトウキビ属間雑種の株出し2回目および新植における生育特性を調査した。また、サトウキビとエリアンサスの交配で得られた実生400個体から交雑個体(21個体)を選抜するとともに、KKFCRCにて交配を実施し、属間交配種子(F1、BC1)を多数獲得した。
  16. ギニアヤム基準配列用系統、リシーケンス(比較対象)用の系統を選定し、染色体数(2n=2x=40)の確認およびフローサイトメトリーによるゲノムサイズの推定(約570MB)を行った。選定した2系統について、次世代シーケンサー(Illumina社GAIIx)でシーケンスを行い、デノボ・アセンブリにより基準配列を作成した。
  17. 90のSSRマーカーについて多型性や種間での増幅効率等を確認し、IITAヤム遺伝資源の類縁関係を解析するのに有効と考えられる共通マーカー候補30個を選抜した。
  18. 物性評価、アミロース組成分析、アミロペクチンの鎖長分布、顕微鏡観察、X線回折等の結果、ヤムの澱粉特性には種・品種間差があることが明らかになった。
  19. ササゲの需要および生産者・消費者嗜好性等に関する調査のため、ナイジェリア北部および南部において市場予備調査を実施し、得られた情報をもとに次年度から実施する現地市場調査の詳細な計画を作成した。
  20. ササゲ子実の栄養成分および品質に係る要因の遺伝資源多様性の評価に供試する遺伝資源セット(代表遺伝資源:10系統、多様性解析試験:224系統)をIITA遺伝資源コレクションの背景情報や主要特性等を検討し、選定した。また、子実の基礎栄養成分および加工適性に、品種/系統間差があることを確認した。
  21. 栽培環境がササゲの品質および収量に及ぼす影響の評価に供試する遺伝資源セット(栽培環境試験:40系統)をIITA遺伝資源コレクションの背景情報や主要特性等を検討し、選定した。
  22. JIRCAS熱帯・島嶼研究拠点の熱帯果樹遺伝資源の詳細なリストを整備し、最も保有数が多いマンゴーについて来歴情報等パスポートデータを充実させた。
  23. 前期中期計画で作出したパッションフルーツ交配後代系統の果実品質調査を行い、樹上で十分減酸する有望系統の2年目における形質の安定性を確認した。
  24. インド型の天水田向きのイネ品種IR49830-7-1-2-2の遺伝的背景を持つ8種のいもち病抵抗性遺伝子を導入した9つの準同質遺伝子系統群を、IRRIとの共同研究で育成した。これらは、熱帯地域に適応したインド型マルチライン品種として利用できる。[研究成果情報]
  25. IR64の遺伝的背景を持った灌漑水田向きのいもち病抵抗性多型品種を育成するため、戻し交配集団(BC6F3)の選抜を行い、系統育成を継続した。
  26. いもち病ネットワーク研究に関するキックオフミーティングを行い各研究機関の研究内容を確定した。また世界的なネットワーク研究の一貫として、日本のイネ品種のいもち病抵抗性に関する遺伝的多様性について明らかにし、抵抗性反応について地域間で差異があることを明らかにした。
  27. リン酸欠乏耐性に関するPup1 座の対象候補遺伝子(No.46)の形質転換体を用いた相補性検定で、候補遺伝子として可能性が高いことを確認した。また300品種の連関分析では、第1、2、11、12染色体でQTLが検出された。
  28. 亜鉛欠乏耐性に関して、現地実証試験(フィリピン)でA69-1, IR55179, IR68144, RIL46の系統が耐性を示すことを明らかにした。
  29. オゾン耐性に関しては、インド型品種が日本型品種に比べて耐性であることを明らかにするとともに、遺伝子分析のための雑種集団の評価、遺伝子型の調査を開始した。
  30. イネ遺伝資源について根長の遺伝変異を評価したところ、インド型のメガ品種IR64の根長は短いが、日本-IRR 共同研究プロジェクトで育成したIR64を遺伝背景にもつ染色体断片置換系統群(283系統)のうち、75系統の根長は長かった。供与親であるYP5に由来する42系統を用いた連関解析で、第6と8染色体の2か所に有意な連関を検出した。
  31. 東北タイでサトウキビ白葉病の拡散様式を解析するための圃場を3カ所設営した。石垣の研究施設を利用して、白葉病の媒介虫の1種ヤマトヨコバイの累代飼育系を確立した。
  32. 共同研究機関がサトウキビ白葉病の病原ファイトプラズマの検出に用いているPCR法で、白葉病ファイトプラズマの検出が可能であることを確認した。
  33. 多用途型高バイオマス量サトウキビ系統評価用の圃場6カ所、白葉病調査用圃場3カ所、株出し処理検討用圃場2カ所を設けた。すべての場所の気象情報が得られるように整備し、土壌分析を行った。
  34. タイにおけるサトウキビ害虫に関して情報収集を行った。その結果、メイガ科4種、ヤガ科1種の計5種が重要種としてあげられた。
  35. ウズベキスタンの塩害発生農地の地下水位を2つの実証圃場(観測井:24点/10ha、38点/26ha)において、2010年1月より3回/月の頻度で計測している。その結果、地下水位は一つの圃場内でも用水路側から排水路側への勾配が見られた。また、地下水の塩分濃度も水深によって差が見られることが明らかになった。(農水省補助金「農地塩害対策調査」)
  36. 塩害農地での畝間灌漑について、通常法と間断法による節水性の比較試験を実施し、間断法による灌漑水量の節減効果と浸透水の分布状況を明らかにした。また、灌漑計画策定の必要諸元として綿花および小麦の根群調査を実施し、栽培期別の根群分布を明らかにした。(農水省補助金「農地塩害対策調査」)
  37. 塩害農地での節水効果が期待できる圃場均平化技術のコスト低減手法を検討した。その結果、測量結果を活用したフェルメルによる事前作業にコストを低減させる傾向があることが認められた。(農水省補助金「農地塩害対策調査」)
  38. 地上部バイオマス量が多いこと、種子が安価であることなどから、ウズベキスタンでの冬の緑肥作物としてオオムギが適当と考えられた。コムギ後作としての換金作物候補として5作目の栽培試験を行い、ズッキーニの耐塩性が最も高く、リョクトウの耐塩性が最も低いという結果を得た。 (農水省補助金「農地塩害対策調査」)

【23年度研究成果情報リスト(食料安定生産プログラム関係)】