情報
戦略的な国際情報の収集分析提供によるセンター機能の強化
今日、グローバル・フードシステムは、気候変動や感染症といった地球規模の危機にさらされています。また、国際的に取引される農産物の需要・供給の不均衡が、グローバル・フードシステムを通じて瞬時に波及し、国・地域の経済パフォーマンスに影響を与え、社会格差の拡大をもたらす時代に突入しています。さらに今後開発途上国を中心に予測される人口増や都市化による食料消費の質・量的変化の加速は、食料供給・流通・需要の全段階に影響を及ぼし、食料栄養安全保障に不確実性をもたらすと考えられます。
政策・戦略策定者にとり、グローバルなアジェンダ・セッティングの場に参画していくためには、グローバル・フードシステムに関わる現状分析・将来動向についての最新の知見や科学に基づく戦略的議論について、体系的に整理された情報へのアクセスが不可欠です。また、研究者にとっても、地球規模課題解決のための研究課題を見極める上で、世界の科学技術ニーズに関する情報を常に更新する必要性が高まっています。
本プログラムでは、複雑化・多様化する開発途上地域の農林水産業と地球規模の食料システムに係る課題や開発ニーズに関する情報を多角的に収集・分析し、国内外に広く情報を発信し、オピニオン・リーダーとして、科学的知見に基づき地球規模課題の解決策について情報発信していくことを目指します。
そのため、以下の取り組みを行います。
- 戦略的情報収集分析提供プロジェクト【戦略情報】
- 研究成果の実用化と事業展開を実現する民間連携モデルの構築【実用化連携】
- サブサハラアフリカでの農業デジタル化推進に貢献するための研究開発可能性調査【農業デジタル化情報】
- 熱帯性作物の持続的生産に向けた遺伝資源の情報整備と利用促進技術の開発および国内外との連携強化【熱帯作物資源】
- みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業【グリーンアジア】

研究成果情報
関連するJIRCASの動き
IRRI Pinto所長が国際農研を訪問
2025年8月21日、国際稲研究所(IRRI)のYvonne Pinto所長が、齋藤和樹上級研究員とともに国際農研を訪問されました。両機関は、稲作を中心とした農業研究分野で長年にわたり緊密な連携を続けており、研究者間の共同研究や情報交換に加え、機関トップによる往来を通じて協力関係を強化してきました。
熱帯・島嶼研究拠点の寳川拓生研究員が令和7年度 第18回沖縄農業研究会賞を受賞
熱帯・島嶼研究拠点の寳川拓生研究員が、研究成果「サトウキビ遺伝資源を用いた形質評価技術開発および既存品種の有効活用に関する研究」により、令和7年度 第18回沖縄農業研究会賞を受賞しました。表彰式は、令和7年8月15日に琉球大学農学部で開催された第63回沖縄農業研究会年次大会において行われました。
プレスリリース
関連するイベント・シンポジウム
- 場所
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TKPガーデンシティPREMIUMみなとみらい、ホールD(220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-6-3 MMパークビル 5~6階)
- 場所
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パシフィコ横浜 展示ホールD ハイブリッド開催(220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1丁目1-1)
現地の動き
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Pick Up
1326. 主要な病害からイネを守るための世界的な取り組み
2025-08-26 白葉枯病やいもち病といったイネの病害は、アジアやアフリカにおいてイネの生産の低下に繋がり、食料安全保障を脅かしています。こうした脅威に対し、研究者たちは、病気に弱いイネ品種の均一な遺伝的背景に1つ1つ異なる抵抗性遺伝子を持つように改良した、高度に特殊化したイネ系統シリーズ(準同質遺伝子系統:near-isogenic lines NIL)を通じた対策を講じています。国際稲研究所(IRRI)と国際農林水産業研究センター(JIRCAS)の長年にわたる協力により開発された白葉枯病抵抗性系統といもち病抵抗性系統は、イネ病害研究における世界標準となっています。国際稲研究所(IRRI)のブログから、IRRIとJIRCASの共同研究の成果を振り返ります。 -
Pick Up
1325. 農業食料システムアプローチの重要性
2025-08-25 国連は、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた進捗を加速するために必要な6つの重要な転換点の一つとして、食料システムを特定しました。しかし、食料不安、栄養不良、そして不平等は依然として存在しています。最近公表されたFAOの報告書(Transforming food and agriculture through a systems approach)は、政策、プログラム、プロジェクト、介入を通じて農業食料システム変革においてシステムアプローチ採用を推進するための情報を提供しています。 -
Pick Up
1324.タイ科学技術博覧会2025に出展、国際農研の貢献が表彰されました
2025-08-22 タイ科学技術博覧会は、年に1回開催されるタイ国最大の科学技術展覧会です。今年は8月9日から17日までの9日間、バンコクにあるクイーン・シリキット国際会議場で開催されました。国際農研は、タイの伝統発酵米麺である『カノムチーン』とタイのサトウキビ奨励品種『コンケン4』に関する国際共同研究の成果を展示しました。 -
Pick Up
1322. AGRA総裁 アリス・ルウェザ氏特別セミナー
2025-08-20 令和7年8月22日 (金)、神奈川県横浜市のTKPガーデンシティPREMIUMみなとみらいにて、アフリカ緑の革命のための同盟 (AGRA) 総裁 アリス・ルウェザ (Ms. Alice Ruhweza) 氏を迎え、特別セミナー『アフリカにおける気候変動に強靭な農業食料システムの構築 ― 科学と官民連携の役割』を開催します。国際農研主催、AGRAならびに国際協力機構 (JICA) 共催により、第9回アフリカ開発会議 (TICAD9) 開催に合わせて企画された本セミナーは、気候変動が深刻化するアフリカ農業の持続可能な発展に向けた重要な機会となります。 -
Pick Up
1321. TICAD9農林水産省セミナー「国際共同研究が育む未来」を開催
2025-08-19 令和7年8月21日(木)、パシフィコ横浜 展示ホールDにて、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)公式サイドイベントとして農林水産省セミナー『国際共同研究が育む未来 ― アフリカとともに歩む若手研究者たち』を開催します。主催は国際農研、後援に農学知的支援ネットワーク(JISNAS)で、国際共同研究の推進と次世代人材の育成をテーマに実施されます。
出張報告書
論文
2025
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Dechassa, Nigussie , Kubota, Osamu , Hughes, Jacqueline , Funaki, Yasuro , Stopponi, Gaia , Fortuna, Serena , Kazungu, Bob , Ono, Kaori , Mamo, Tadele , Hanai, Junichi , Nguyen Thi, Thanh Thuy , Iiyama, Miyuki (2025) Tailoring Science, Technology, and Innovation to Local Contexts while Advancing Global Agendas : Lessons from Multi-Country, Cross-Sectoral Approaches to Agri-Food Systems Transformation. Tailoring Science, Technology, and Innovation to Local Contexts while Advancing Global Agendas: Lessons from Multi-Country, Cross-Sectoral Approaches to Agri-Food Systems Transformation : UN Food Systems Summit +4 Stocktake (UNFSS+4) Side Event, https://doi.org/10.34556/0002000893
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Shiratori, Sakiko , Abeysekara, MG Dilini (2025) Relevance of Mathematical Optimization as a Tool for Diet Modeling in the Development of Food-Based Dietary Recommendations in Sub-Saharan Africa : A Scoping Review. Advances in Nutrition, 16 :100480-. https://doi.org/10.1016/j.advnut.2025.100480
20008941.9 MB
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Kuniyoshi, Daichi , Kishima, Yuji (2025) Fertile interspecific diploid hybrids between the Asian and African rice species facilitated by tetraploidization and its reduction. Theoretical and Applied Genetics, 138 :161-. https://doi.org/10.1007/s00122-025-04901-3
20008872.3 MB
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NAKAYAMA, Masakazu (2025) Manual for managing tomato cultivation in Asia Monsoon Plant Factory system (AMPF). , 0 https://doi.org/10.34556/0002000730
20007307.8 MB
2022
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国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点 (2022) パッションフルーツ簡易茎頂接ぎ木実施マニュアル&ウイルス病感染防止対策例. , https://doi.org/10.34556/0002000729